正しい英語発音を学ぶことは重要です。
ご存知の通り、英語の学習では、聴く・話す・読む・書くの4つの技能が必要になります。そして、この4つの技能をバランスよく習得するのが理想的です。
しかし、日本の英語学習では、「読む」「書く」の習得に偏向しています。
2006年から大学入試センター試験でもリスニングの導入が始まって、以前に比べればリスニングに対する英語学習者の関心は増していると言えますが、まだまだリスニングの学習が「おまけ」と捉えられがちです。
ただ、よくよく考えてみると、相手の言っていることが聞き取れなければ、返事のしようもありません。
実用的な英語という観点から、リスニングが最も重要だと言う英語上級者が多いのも納得がいきます。
リスニング学習における発音の重要性
リスニングの学習といっても、単に英語を聞いていればいいだけではなく、初期の段階では、正しい発音を学ぶ必要があります。
私たちは、通常英語の単語を音声ではなく、文字を日本語的な発音で覚えてきました。
正しい発音を学び直さないと、正しくネイティブスピーカーの音を捉えることができません。
正しい発音を学ぶためには、次の学習が必要になります。
・リズムとイントネーション
・音と音のつながり(リエゾン)
・なくなる音
・アクセント
上記の学習は、日本の英語学習で軽視しがちですが、面倒でも早いうちからしっかりとした学習をしておくことをお勧めいたします。
単語や熟語を覚えたり、洋書を読んだりするのと違い、発音練習は地味な訓練が必要で、苦痛になりがちです。
しかし、ここを頑張って学習すると、その後の伸びがだいぶ違ってきます。
・子音と母音の正しい発音
似ていると思われる音も、英語と日本語では、まったく違った発音になります。
このことを認識した上で、一つ一つ個別に発音を覚える必要があります。
「まあ、何となく通じるのでは?」と思われる方も多いのですが、正しい発音を身につけないと日本人相手以外全く通じなかったり、リスニングが伸び悩んだりする原因になります。
例えば、[S]の発音ですが、日本語の「サ行」に似た音だと認識している方も多いと思いますが全く違います。
[S]の発音は、舌先を上の歯茎に近づけ、舌と歯のすき間から強く「息」を出すことによって出ます。
この時に喉を触ってみると、喉が震えていないはずです。このことは声帯が振動していないことを意味し、[S]は「無声音」ということになります。
反対に、日本語の「さ」と発音すると、喉が震えていると思います。このことは、声帯が振動していることを意味し、「さ」は「有声音」ということになります。
このことから、[さ]は声帯が震えることにより、のっぺりとした音であり、[S]は、舌と歯茎から息が強く漏れる乾いた鋭い音になります。
音の性質としては、タイヤなどから「スー」と空気が漏れる音に使いです。日本人にとって、英語の子音の一部は、「声」というよりは、「自然音」に近いです。
ですから、リスニングで、[S]の発音を聞き取ろうとするときは、「サ行」の音を期待するのではなく、「舌と歯茎の間から漏れた息の音」を期待するといいでしょう。
そういった意識で聞いていると「オバマ大統領の[S]の発音は綺麗だ」とかいうことが分かってきます。
その他、[d]の発音は、舌先を上の歯茎につけ、息の流れを止めてから一気に舌先を弾くように離すことによって出します。
「S」や「d」の音を認識する際は、「さ」や「だ」の音で置き換えるのではなく、
「あっ、今の音は、舌と歯茎のすき間から息が漏れた音だ!」
「舌先が歯茎を弾いた音だ!」
という認識をするようするといいでしょう。
このとき、注意をして欲しいのは、子音の後に母音を付けないということです。
例えば、「good」と発音するときに、「グッドォ」と[d]の音の後に、「オ」を入れないように注意して下さい。
もちろん、日本語で「さ・し・す・せ・そ」は子音なんですが、ローマ字で書くと、「sa・si・su・se・so」となります。
つまり、
「さ」=S(子音)+A(母音)というように、日本語では、ほとんどの子音は、純粋な子音のあとに、「あいうえお」を入れて発音してしまうのです。
このことは、「さー」とずっと声に出し続けることができないことからも分かります。「さー」と伸ばして発声してもいつの間にか「あ」の音に変わってしまいます。
しかし、英語は、あくまで子音は子音、母音は母音として別々の音として完全に分離されています。
英語の[S]は、日本語とは反対にずっとその音を息が続く限り出し続けることが可能なのです。
以上のことを意識して、正しい発音を身につけると、スピーキングにも自信が持てますし、リスニングにも大きな効果が期待できます。
そのためには、正しい発音を覚える必要があります。
以下の書籍が特にお勧めです。
・「英語発音、日本人でもここまでできます。」(瀬谷出版)
「日本人の発音が通じない」理由とその解決法が分かりやすく説明されていて、しかも取り組みやすい内容です。
この本で、しっかり正しい発音を学べば、スピーキングの際に英米人にも通じやすくなりますし、リスニングの際に聞き取りやすくなります。
正しい発音を学ばないうちにいくら多量の英語を聞いても、ザルに水を流すよな状態になり無駄な努力になりがちです。遠回りなようでも、発音は頑張った方が結局は近道になります。
ただし、英語の子音は、非常に高周波になります。低周波に慣れている日本人にとっては聞き取りにくくなります。
ですから、発音ができるようになっても、高周波の子音を聞き取るのは慣れが必要になります。
元Google副社長の村上憲郎さんの著書「村上式シンプル英語勉強法」でも、
英語が聴こえるようになるには、耳を鍛えて高周波を聴き取る力をつけるし
かない。
と書かれています。
以上です。
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