総合英語 Evergreen(エバーグリーン)で英文法の基礎力を身につける

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総合英語 Evergreen(エバーグリーン)は、本来、大学受験を目指す高校生のための参考書ですが、英文法の本質が分かるという評判もあり、英検TOEICなどで高いレベルを目指す大学生や社会人にも売れている人気の文法書です。

また、総合英語 Evergreenは、高校の先生方からも絶大な支持を受けて、学校で配布されることも多かった「Forest」の後継版です。

権利関係のもつれから、桐原書店からいいずな書店にほぼ同内容で出版社を移った形です。

表紙のタイトルの下に“keep the forest evergreen”とあることからも、その関係性が伺えます。

使い方は、学校や予備校の授業で分からないところを調べる辞書代わりから、丁寧に読み込んで英文法を深く理解するまで、使い勝手がいいです。かなり分厚い本ですので、苦手な分野もしくは試験に頻出な項目に絞って読み込むのもいいでしょう。

そして、その人気の秘密は「Evergreenの三大特徴」にあると思います。

Evergreenの三大特徴とは?

Evergreenの三大特徴
①英文法の「なぜ?」をしっかり理解

②基本から発展までスムーズ学習できる構成

③「わかりやすさ」を徹底追及求

①英文法の「なぜ?」をしっかり理解

英文法の学習というと、無味乾燥な暗記のイメージが多いですが、Evergreenでは、「なぜ?」の部分を大事にします。実際に書籍の中身から、「there is 構文」と「everの使い方」がどう説明されているか見てみます。

There is 構文

例えば、英語学習者なら誰でも知っている、There is 〜構文ですが、どこかに何かが存在していることを伝えたい時に使われる構文で、ほとんど中学生が知っているはずです。
ただ、There is 構文のbe動詞のあとの名詞に
the、that、this、yourのような相手が知っていることを示す語はつけない。
とあります。「そう言えば、There is 構文の場合は、aがつく名詞か複数ばかりだったな」と思われる方も多いでしょう。そうなる理由として、evergreenでは、
be 動詞の後に存在を伝えたりい人や物を表す名詞を続ける。(中略)相手が知らないことを伝えるのだら、名詞にthe、that、this、yourのような相手が知っていることを示す語はつけない。
のように理由を説明してくれています。その上で、名詞にtheをつけたい場合は、
The cat is under the table.(そのネコはテーブルの下にいます。)
のようにすると解説されています。

ever の使い方

ever は、基本単語ながら、使い方が難しい単語です。
everは「今までに」という意味を表すが、肯定文で「今までに何かしたことがある」と言うときに使うことはできない。
このことは、指摘にあるように、「ever = 今までに」という訳語だけで覚えている人にとって間違えやすい点です。そして肯定文で使えない理由として、
これは、everが「いつでも・どれくらいの期間でも・回数は何回でもかまわない」という含みをもつからだ。
と説明してくれています。
ですから、
Did you ever see such a beautiful sunset?
(こんなに美しい夕焼けを今までに見たことがありますか?)
これは、「こんなに美しい夕焼けを(いつでも・どれくらいの期間でも・回数は何回でもかまわない)ので見たことがありますか?」という言い換えが可能になりますよね。
しかし、
私は今までに3度アメリカに行ったことがあります。
このような日本文を「私は(いつでも・どれくらいの期間でも・回数は何回でもかまわない)けど3度アメリカに行ったことがあります。」と言い換えることはできませんよね。不自然どころでなく、意味が不明になってしまいます。
このように、everの持つ「いつでも・どれくらいの期間でも・回数は何回でもかまわない」という含みをしっかり理解すれば、everが肯定文で「今までに何かしたとことがる」と言うときに使うことができないとしっかり理解できるはずです。
ただし、
Mt.Fuji is the highest moutain I’ve ever climbed.
(富士山は、私が今までに登った最も高い山です。)
このように最上級の表現に続ける場合であれば、everを使えることも説明されています。
「富士山は、私が(いつでも・どれくらいの期間でも・回数は何回でもかまわない)けど登った最も高い山です。」と言い換えても、不自然ながら意味は通じます。
これらはざっと一例なのですが、Evergreenでは、無味乾燥な英文法の暗記ではなく、理解に力を入れているのが、人気の一番の秘訣だと思います。
もちろん、今までこういった理解を重視したアプローチの英文法の書籍もあったのですが、文法項目もごく一部を扱ったものが多く、ここまで網羅的な文法書は画期的だと思います。

②基本から発展までスムーズ学習できる構成

Evergreenでは、次のようにその特長を説明しています。
基本をしっかり学習してからより深い学
習に進めるよう、Part1「これが基本」
→Part2「理解する」→ Part3「深く知
る」という三部構成になっています。
また、主要な章には、その章で学んだ内
容を整理・確認する「Part4 確認する」
を新設。英文法の全体像をしっかりと身
につけることができます。
ただ、私が思うに、Part1「これが基本」は、その単元の全体像をざっくりと言うか、抽象的に説明しすぎて、初学者には逆に分かりにくいと思います。多分、分かりはするのですが、その“本質的”な説明の大切さに気づかないと思います。
もちろん、中学卒業したての高校生でも理解できるレベルから、英検準一級を所持している実力がある方まで、あらゆる層に役立てる文法書という点で、重宝されるべき1冊と言えます。

③「わかりやすさ」を徹底追及求

Evergreenでは、次のようにその特長を説明しています。
ことばでのていねいな説明や学習しやす
いレイアウトはもちろん、イラストや概
念図をふんだんに取り入れ、英文法を多
角的に理解できるようになっています。
これは、Evergreenだけでなく、近年の文法書全般に共通することだと思いますが、説明の丁寧さやイラストや概念図の充実により、イメージに訴えかける説明をする文法書が人気があります。
人気の文法書の「一億人の英文法」なんかもそうですよね。
ただ、ある程度の実力があって、効率的な学習をしたい人にとっては、説明の丁寧さは、冗長と思われるかもしれません。パパッと学習をしたい人は必要に例文にマーカーを引いたり、カードに抜き出したりするのもいいでしょう。

Evergreenの使い方

前述の通り、Evergreenは、意欲的な高校1年生から大学生や社会人までの幅広い層に愛されている参考書ですので、使い方は様々だと思います。利用者層を次の通りに分けて述べます。

高校1年生

高校のグラマーの授業の際のサイドテキストとして利用する高校1年生も多いと思います。

辞書代わりという使い方ですね。

個人的には、Evergreenは、中学英語から高校英語の橋渡しのメインの教材には向かないと思います。

やはり参考書ですので、トレーニングの部分が少ないです。特に比較とか仮定法とか受験生の頻出の重要な文法項目は、何度も紙に繰り返し書いたりトレーニングが必要だと思います。逆にそれほど重要でない文法項目を大幅にカットしたりのメリハリのある薄手の書籍で一気に仕上げた方が効率的だと思います。

受験生(大学受験)

受験生とひと口に言っても、目指す大学によって大きく異なると思うのですが、正誤問題が難しい上智大学とか目指すのであれば、文法項目で盲点になりそうなところを、Evergreenを一気に目を通して、抜けのない学習のために使えると思います。

前述のThere is 構文で、次にthe catと言う名詞がきていたら、速攻で“✖️”を選べるようにしたいです。

ただ、そこまで上の大学を目指すのであれば、薄手の文法書でトレーニングして理解できない際のサブテキストとして使うのがいいと思います。

 

大学生・社会人

大学生や社会人の“やり直し”英語として、一気に目を通すのにうってつけの1冊です。

「ああ、こんなことやったなあ!」と記憶のフラッシュバックが起きると思います。

ただ、中学レベルの英語を怪しい人は、Evergreenは絶対に使ってはいけません。

中学レベルのやり直し専門も参考書も多く出版されていますので、見栄を張らずに基礎から学んでください。

Evergreenのまとめ

「理解」を深めるのに最適な1冊ですが、トレーニングの要素に不安あり

ひと言でのまとめになります。

ただ、英文法を学ぶ必要がある人には、手元に1冊あって間違いないオススメの参考書です。

Evergreenのレビューは以上になります。

理解にこだわりつつもトレーニングを重視したい学習者は、鈴木拓氏の3部作がオススメです。

「偏差値30からの英語やり直し学習法」(中経出版)などの著作で有名な鈴木拓さんらしい正当派の英語講座です。