『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』は、すべての英語学習者にオススメの1冊です!

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『英語多読 すべての悩みは量が解決するする!』は、NPO多言語多読の協力のもと、繁村一義氏と酒井邦秀氏により執筆された、多読のバイブルともいうべき書籍です。

(この初版は2018年7月ですので、バイブルは大げさかもしれませんが、多読三原則を分かりやすく理解できる良書です。)

「英語多読」の“多読”は、よく大学受験生が議論する「多読と精読どっちが重要?」という命題とは、違ったレベルでの多読を意味します。ですので、当該書を読むときは、頭をまっさらな状態にして読んで欲しいです。

一番いいのは、「英語多読」を一読することなのですが、「本当にいい本なの?」と迷っている方に、少しでもその魅力を伝えれるように頑張ります。

多読三原則とは?

多読三原則は、著書である酒井邦秀氏が、『快読100万語ペーパバックへの道』(筑摩書房 2002年6月刊)にて発表したものです。英語学習に興味のある方の間では、かなり知名度の高い原則で、色々な書籍やブログで引用されています。
100万語多読の提唱でも知らられる英語多読研究会SSSでも、多読三原則を引用して、多読学習の普及を目指しています。

関連記事英語多読研究会SSSとは?

多読三原則
多読三原則の① 
辞書は捨てる

多読三原則の② 
分からないところは飛ばす

多読三原則の③ 
合わないと思ったら投げる

この3つは、特に大切です。覚えてしまいましょう!
えっ、お前が暗唱できるのかって?
もちろん、そらで言えますよ。笑

多読三原則の① 辞書は捨てる

辞書は本当に捨てる必要はありませんし、メルカリに売りに出す必要もありません。読む際には、いちいち辞書を引くなくてもいいということですね。
英語学習者にとって辞書とは神聖なものという考え方が、まだまだ圧倒的ですので、ショックを受ける学習者が多いと思います。実際に、多読三原則の発表当初の2002年には多くの非難が殺到したようです。
辞書は、便利な一方で、読書を中断する要因になります。また、訳語が必ずしも英単語の正確なニュアンスを伝えているとは限りません。便利な辞書の訳語が誤解の原因になっているケースも多いです。

英語学習の常識では「climb=登る」でしょう。けれどもはしごを下りる絵にclimb downという文が付いていれば、一発で「常識」の間違いを納得できます。

ー『英語多読』P30より引用ー

climbは強いて言うと、両手足を使って少し苦労して進むさまでしょう。方向は関係ありません。寝袋に潜み込むなんてときもclimbを使いますし、いちばんよくclimbを見か掛けるのは車の乗り降りの場面でしょう。

ー『英語多読』P92より引用ー

多読三原則の② 分からないところは飛ばす

分からないところは、分かるまでしっかりと考え抜く!
これは受験勉強の美徳です。
しかし、英語多読では、そんな美徳は捨て去って、“飛ばす”ことで対処します。
「重要な単語ならまた見かけるでしょ!」
そんな割り切りが必要です。私の場合は、分からないとこは飛ばすというより、ただ左から右へ眺めるだけで対応をしていました。英文読解の最大の弊害は返り読みだと考えていた私にとって、原則②の実践は、重要な示唆を与えてくれました。
おかげで、本を一冊読み切って、何について書いていたかさえ理解できていない時もありましたが、とにかく左から右に読み込むクセをつけたのは収穫でした。
正確なのが
絶対じゃない

多読三原則の③ 合わないと思ったら投げる

Never give up !
英語多読の世界では、そんな陳腐なフレーズは忘れ去りましょう。
本を読んでいて、つまらなかったらすぐやめてOKです。

多読三原則が意味するところ

多読三原則はいかがでしたか?
よく知られた原則ですが、はじめて知った人は、衝撃を受けると思います。
「これだ!」
と思う人もいれば、
「ちょっと、これは・・・」
と疑問を持つ人もいるでしょう。
ただ、私たちが日本語の読書習慣を身につけたことを思い出してください。
・読書の途中で辞書を引くことはほとんど無し!
・本の飛ばし読みは、(小説以外は)しょっちゅう
・最後まで読み通した本より、途中で投げ捨てた本の方が10倍はある
これは、私個人の読書経験からの振り返りですが、大抵の人が同じだと思います。それを英文に実践しただけで、特別おかしな原則ではないのでしょうか?

多読は楽しい!

多読三原則の詳しい説明をしましたが、多読の大前提を紹介いたします。
そう、多読は楽しい!のです。
皆さん、知ってましたか?
逆に大学受験の多読、TOEICの多読は、辛いのです。
自分の興味のないテーマでも、講師が指示をすれば、読まなくてはいけません。「つまんね〜な、この文章」と思っても、最後まで読み通さなければなりません。
「面白い!この文章」と思って、もう一度文章を味わいたいと思っても、時間との戦いの試験の場では、感情を一切排除して、読み切らないといけません。
多読では、自分がやりたいこと、楽しいと感じることしかしません。
古臭い教師からは、「勉強舐めんなよ!」とグダ巻かれそうですが、これが今の真実なのです。
「楽しい」という感覚こそ、継続の最大のモチベーションになります。軽視できません。
さて、あまりに有名になり過ぎた「多読三原則」ですが、実は、「多読を支える3本柱」の一角だったということを知っていましたか?

多読を支える3本柱とは?

多読を支える3本柱
・多読三原則

・大量の読みやすい本

・仲間

多読三原則(辞書は捨てる・分からないところは飛ばす・合わないと思ったら投げる)を可能にするのは、「大量の読みやすい本」を読むのが大前提になると思います。
言い方を変えれば、「大量の読みやすい本なくして、多読三原則なし」といった感じでしょうか。
読みやすい本というのは、かなり感覚的な表現なのですが、私なりに解釈すると、
・文字数が少ない

・語彙のレベルが低い(中1・2レベル)

・自分の興味のある分野

となると思います。
ただ、多読三原則を実践しようとしたときに、「大量の読みやすい本」の選択がネックになります。
「英語多読」では、次のような本を読むことが推奨されています。

・1冊当たり十数ページくらいまで

・文字は1ページに1、2行以下

・絵や写真など、ビジュアル部分が圧倒的に多い

ー『英語多読』112ページより引用ー
ちなみに、そんなレベルの英文って、次のような感じです。

“Go on, Mum,” said Kipper.

“I’m going,” she said.

ーOxford Reading Tree Stage1+のGo on,Mumよりー
2ページでこんな感じの文章です😵
英語多読で推奨されるのは、このレベルの英文を大量に読むことです。このことで、挫折をする人が多いのだろうと推測できます。
もし仮にあなたが上智大学で優秀な成績で卒業しようが、駿台模試や東大入試の英作文で高得点を残した秀才でも、英語多読をこのレベルの英語で量をこなさなければなりません。知的好奇心を満たす文章に触れることはできません。
「受験英語の方が楽しくない?」
このように、「多読は楽しい」という大前提を覆しかねない事態が生じます。
皮肉なのですが、大学受験での英語では“難しい”が挫折の原因ですが、英語多読では、“簡単すぎる”が挫折の原因になってしまいます。
(また、ひと昔前であれば、洋書はすごく高価でした。ですので、児童書を大量に買おうとしたら、相当な出費が必要でした。その点は、スマホ時代の現在では、アプリからダウンロードもできるので安心です。)
ただし、このレベルから学習するので、辞書が必要なく自然な英語を身につけることができるのだと割り切って学習するしかありません。

瞬間英作文と真逆の世界観

たくさんの自然な英語に触れて、英語になれ親しんでいきましょう。
そう、「触れる」だけです。暗記したり、トレーニングしたりすることはしません。暗記やトレーニングは、多読には必要ないのではなく、しない方がいいことなんです。

ー『英語多読』 P110より引用ー
さて、読みやすくやさしい本を大量を読むという『英語多読』の世界観を理解していただけたと思います。
しかし、それは、瞬間英作文話すための英文法とは相容れない世界だと気づいていただけたでしょうか?
(参考)瞬間英作文とは?

短文暗唱=瞬間英作文は、英文を即座に作るための瞬間英作文回路を自分の中に組み込みます。また、この回路に乗せて、音読パッケージなどで蓄えた英語のストックが実際に使えるようになります。最も目立った効果は英語が話せるようになるということですが、それ以外にもリスニング、読解力も向上します。自在に使える構文、フレーズが多いということは、英語力全体を底上げしてくれるのです。

ー英語上達完全マップより引用ー

「英語はトレーニング」という合言葉のもと、簡単な英文を大量に音読する学習法を全否定するのが、『英語多読』の理念です。ですので、あなたは、英語多読の神様を選ぶのか、瞬間英作文の神様を選ぶのかを選択しなければなりません。
『英語多読』を信奉することは、『瞬間英作文』シリーズをゴミ箱に捨てることが求められます。(もちろん、筆者がそんなことを書いている訳ではありませんが・・・)

非常識に聞こえるかもしれません。しかし多読で体に染み込んだ英語は、表面的に覚えた文法よりもはるかに頼りになります。考えずに、勘で答えることーこれはTOEIC対策だろうが、東大受験だろうと同じです。

ー『英語多読』P56よりー
ただ、『英語多読』では、音読自体は否定していません。むしろ、シャドーイングなどの実践を推奨しています。
文脈関係なしに、(時に)不自然な英文をゴリゴリ暗記する作業を無駄だと否定しているのでしょう。
どちらも大量な作業を要するのは同じですが、その努力の方向性が次のように違うのだと私なりに解釈をしています。
・瞬間英作文
☞ 大量の音読→口に覚えさせる努力

・多読三原則
☞ 大量の読書→いっぱい忘れてもいいので体に染み込ませる努力

もちろん、どっちの世界を選ぶか決めるのは、ご自身です。
ただ、どちらかが完全に間違っている訳ではありません。
瞬間英作文で英語のスピーキングが上達した人もいれば、多読三原則を愚直に実行して英語力をグンとあげた人もいます。一番良くないのは、迷って時間をいたずらに無駄にすることです。
Just do it !
(さあ、やってみよう!)