中世ドイツ史– category –

神聖ローマ帝国における「領邦国家の成立」は、その政治構造を理解するうえで避けて通れない重要テーマです。 イングランドやフランク王国（のちのフランス）が王権を中心に比較的わかりやすい国家形成の道をたどったのに対し、神聖ローマ帝国はなぜか「仕...

神聖ローマ帝国とは、中世から近世にかけてドイツを中心に存在した、皇帝と諸侯の緩やかな連合体による政治組織です。 しかし18世紀フランスの哲学者ヴォルテールは、この国家を「神聖でも、ローマ的でも、帝国でもない」と痛烈に評しました。 この言葉は...

フリードリヒ1世（バルバロッサ）は、12世紀の神聖ローマ帝国において「皇帝の威厳」を取り戻そうとした代表的な支配者です。 赤い髭をたくわえた勇壮な姿で知られる彼は、分権化が進む帝国内の秩序を立て直し、皇帝を頂点とする普遍的な統治体制の再建を...

962年、東フランク王オットー1世はローマで教皇から皇帝の冠を授けられ、中世ヨーロッパにおける新たな「西方皇帝」の権威が正式に復活しました。 これは、カール大帝以来途絶えていた皇帝位を再興し、のちに「神聖ローマ帝国」と呼ばれる政治体制の出発点...

フリードリヒ2世（在位1220〜1250年）は、神聖ローマ帝国の歴史においてひときわ異彩を放つ存在です。 彼はしばしば「最後の中世皇帝」でありながら、同時に「最初の近代人」と呼ばれます。 その理由は、単に軍事力や支配領域の広大さにあるのではなく、伝...

大空位時代（1254〜1273年）とは、神聖ローマ帝国において皇帝が約20年間も空位となった時期を指します。これは中世ヨーロッパ政治史において極めて異例の出来事であり、皇帝という“神の代理人”が不在であったことで、帝国の統治構造が根底から揺らぎまし...

中世ヨーロッパにおいて、フランスが「王権国家」、イングランドが「議会国家」への道を歩んでいたのに対し、神聖ローマ帝国は「普遍帝国」という理想を掲げ続けた、もう一つのヨーロッパの中心でした。 普遍帝国とは、信仰と政治を統合し、キリスト教世界...

「金印勅書（1356年）」とは、神聖ローマ帝国における皇帝選出の仕組みを法的に定めた画期的な文書です。 この勅書は、ただの制度改定にとどまらず、中世から近世にかけてヨーロッパの政治構造を根本から変える転換点となりました。 皇帝選出の不安定さと...