英語を話そうと思った時、まず大切なのは、中学レベルの英語を使いこなすことです。
「受験英語」の延長線上に会話力があるのではなく、「中学レベルの英語」をさらにブラッシュアップして活用することで話せるようになってきます。
ですから、高校卒業程度の英語力がある方なら、新たに難しい英単語を覚えたり、高度な英文法の知識を身に付ける必要は、会話の上ではあまりないと思います。(正確に言うと、受験英語に出てこない「生活単語」を覚える必要があります。)
中学英語なら難しくて嫌になるということもないですし、圧倒的な量をこなせるのも大きな魅力です。
帰国子女でもなく、海外経験もないのに英語が話せる日本人の多くは、次のような勉強法をしている方がほとんどだと思います。
中学レベルのテキストを繰り返し何度も音読する
ただ、こう書くと「中学レベルの英語で英語が話せるようになると信じられない。」とおっしゃる方が必ず出てきます。
ですので、中学英語が英語を話すうえでどれだけ大切かという具体例を示したいと思います。
中学英語の重要性を示す具体例
中学英語なんて学習し直す必要はないと思われる方は、次の日本文を英語にしてみてください。
「彼女は私を差し置いて昇進した。」
ちなにみに、昇進するは、“be promoted”を使ってみて下さい。
いきなり解答例を見ないで、少し自分で考えてみてください。
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正解例は
・She was promoted before me.
どうでしょうか?
「差し置いて」を何て言うかで悩まれたのではないでしょうか?
こいった単語をいちいち何て言うのかを考えていたら、「単語博士」にはなれても、いつまでも英会話はできるようになりません。
「before」という中学レベルでも超基本単語を使いこなすことで表現すると自然な表現になります。
私は、個人的には公立高校の入試レベルの長文くらいの文章が組み立てられれば充分すぎるほど会話ができると考えています。
もし、「本当に公立高校の入試レベルの長文で話せるの?」と思われるなら、今度、大手の書店で地元の公立高校の過去問を手にしてみてください。
そして長文の日本語訳を読んでみてください。それから、その日本語訳を英語にスラスラと書き換えることができたら、相当の実力者です。
これほど、込み入った日本語の内容を、これほどシンプルな英語で表現できるのかと驚かれるはずです。
今回は、基本単語beforeを例にとりましたが、5つの基本動詞も使いこなせると表現の幅が広がるパワフルな単語です。
5つの基本動詞とは、次の5つです。基本中の基本動詞です。
□make □have
どう使いこなすか興味のある方は、次の記事を読んでください。
難単語はNG、シンプルな構文で!
難単語が基本的に1対1の対応
それに対して中学レベルの単語を使いこなせば単語によっては1対無限の対応となるのです。
ですから、中学レベルの英語を身につけることによって、暗記だけに頼らない、「活用自在」な骨太の英会話力が目指せます。
「節約すれば、お金は溜まる」を英訳すると?
難単語や複雑な構文に頼らないで英語を作ることの大切さを次の例文で示したいと思います。
問1 節約すれば、お金は溜まる
これもいきなり解答を見ないで、まずは自分で考えてみてください。
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You can save your money by spending less.
これが私の解答例です。
多くの方は、
If you spend less, you can save your money.
このように、ifやwhenを使われたりしたのではないでしょうか?
もちろん、これでも間違いないのですが、英語を話すためには、なるべくbig wordを使わずに、シンプルな構成をするのが、簡単ですし伝わります。
こういった日本文を英訳しようとすると、まずは「節約ってなんていうんだけ??」と単語につまずく方がほとんどだと思います。
economizeとかscrimpなどの難しい単語をパズルのように並べるのではなく、中学レベルの単語を使いこなすことに慣れると、英会話の上達につながります。
映画のスクリプトを見たりすると、使われている単語や構文がすごくシンプルで驚くという人がよくいます。
日本人の英語の欠点として、必要以上に単語を難しくして、複雑な文章にしがちなのです。散々にこねくり回した後に、間違えるという最悪な状態になりがちです。
変な話ですが、発する英文をシンプルにするために、思考しなくてはいけないのです。
中学レベルの単語で英作文をしてみよう!
他にも次の日本文を英語に訳してみて下さい。
2.ちゃんと食べている?
3.私から電話があったことを彼女に伝えていただけますか?
4.全員揃ったようですね。
5.いつ頃出来上がりますか?
6.そんな気分ではない。
7.車で行くほどの距離ではないけれど、つい乗ってしまう。
さて、だいたいの問題は解けましたか?
解答例は以下の通りです。
2.Do you eat enough?
3. Would you tell her that I called?
4.Everybody seems to be here.
5.When will it be ready?
6.I don’t feel like it.
7.It’s not really far enough to have to drive there, but I always end up driving.
もちろん、じっくり考えれば思いつく英文も多いと思いますが、咄嗟に出てくる英文は意外と少ないのではないでしょうか?
ただ、日本文を読んで頂ければ分かると思いますが、この程度の文章を考えながら作っているようだと、とてもコミュニケーションは成り立ちません。
ですので、最初は、中学レベルの簡単な例文集を集中して学習すると口が慣れてきてスムーズに話せるようになります。
中学レベルの英語の音読におすすの参考書
このレベルでのおすすめは、『瞬間英作文トレーニング』シリーズ(ベレ出版)です。言いたいことを、瞬間的に口に出すトレーニングに最適です。シリーズの詳しい使い方は、以下の記事を参照してください。
このレベルの文章は、「頭で作る」のではなく、「反射的に口に出る」レベルにしなくてはなりません。
また、『瞬間英作文トレーニング』シリーズが短文集なのに対して、まとまった長文を音読する素材として人気なのが、『英会話・ぜったい・音読』シリーズです。
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中学レベルの英語を活用するセンスを磨こう
中学レベルの英語を音読するおすすめのテキストとして、「瞬間英作文」と「英会話・ぜったい・音読」のシリーズを紹介しました。
これらの音読を繰り返すことで、英語を話すための瞬発力が養われるはずです。
ただ、与えられたテキストの音読を繰り返すだけでは、「彼女は私を差し置いて昇進した。」を“She was promoted before me.”と英訳をしたりとする、自然な英文を自分で作り出す発想の部分は習得は難しいです。
そこで、中学レベルの英語を作り出す発想の部分を学べるお勧めの1冊をご紹介します。
会話もメールも英語は3語で伝わります
手軽に英文を作れるようになる発想法を学びたいという方のためにオススメの1冊です。
この本は、ベストセラーにもなった評判の1冊です。
3語で伝わると言うのは、どういうことでしょうか?
筆者の中山裕木子さんは、「主語+動詞+目的語」(SVO)といった3語だけで英会話を成立させるというユニークなメソッドです。複雑な構文を使わないことを提唱される類書はたくさんありますが、このメソッドからすると、SVOOやSVOCといった構文でさえ複雑な部類に入るようです。
ただ奇をてらった企画本ではなく、文を作成する際に、本来は動詞を使った方が自然な表現を名詞に頼りがちな日本人英語の弱点を見事についた一冊になっています。
例えば、帯に大々的に説明されていますが、「私の仕事は英語の先生です。」を英訳するとどうなるでしょうか?
× My job is an English teacher.
〇 I teach English.
My jobのような名詞が中心になりがちな日本人的な英語に対して、teachと動詞で表現する方が自然で斬れる表現です。
さらに、「私はiPhoneユーザーです。」とはなんと言うでしょうか?
まず、日本人なら、ユーザーを英語で何という単語に置き換えるかを考えるのが普通です。
しかし、著書では、
I have iPhone.
(私はiPhoneユーザーです)
と伝わることが紹介されています。
つまり、『会話もメールも英語は3語で伝わります』は、英訳を難単語への置き換えに終始しがちな日本人英語を自然な中学レベルの基本単語で伝える発想の転換方法を教えてくれます。かなりの良書です。
本書に一気に目を通せば、かなり英語の発想の力が身につきます。もちろん、ADVANCED BEGINNERほど分量はありませんが、書籍1冊なので、コストパフォーマンスは抜群です。
そもそも中学レベルの基礎が欠けている場合は?
中学レベルの英語を使いこなそうというテーマでいろいろ述べてきました。
英語の基礎知識を習得する教材としてお勧めなのが、鈴木拓先生の「ゼロからの英語やり直し教室 New Beginning」です。
「ゼロからの英語やり直し教室 New Beginning」は、受講期間2ヶ月のメール講座(全52回)です。
この講座の素晴らしいところは、be動詞や一般動詞といった本当の英語の基礎から、「英文を作る練習をして、知識を確実に定着させる」といったアウトプットを意識したカリキュラムになっているところです。
基礎を勉強しながらアウトプットを意識した教材は少ないのですが、この講座では、使える英語を目指せるのでおすすめです。
講座の詳しい内容は、参考記事をご覧ください。
「ゼロからの英語やり直し教室 New Beginning」はメリットばかりの非常におすすめの講座ですが、デメリットとして費用が19,800円(税抜)かかります。
あまりお金をかけられない人やかけたくない人も多いでしょう。中学レベルの基礎からやり直しのできるお勧めの参考書をご紹介します。
[getpost id=”8575″ title=”やり直し英語におすすめの参考書” ]
まとめ
ざっと書いてきましたが、中学レベルの英語の重要性が伝われば嬉しいです。
特に近年は、中学レベルの英語をしっかり学習しようという意識の高い学習者が増えています。
やはり、同時通訳の神様と言われる國弘先生が、『英語の話しかた』という書籍で中学レベルの英語の重要性を説かられた影響が大きいと思います。
中学レベルの英語には、英会話に重要なエッセンスがぎっしりと詰まっています。
中学レベルの英語を活用する学習のためにこの記事を参考にしていただければ幸いです。
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