似ているようで大きく違う!「話すための瞬間英作文」と「必ずものになる話すための英文法」シリーズを徹底比較

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「話すための瞬間英作文」(森沢洋介著)

「必ずものになる話すための英文法」(市橋敬三著)

どちらも短文音読でスピーキング能力を鍛える人気のシリーズです。どちらを選ぶか迷う人も多いと思います。ちなみに「話すための瞬間英作文シリーズ」は、大手オンライン英会話のDMM英会話のテキストにも採用されていたりと人気だけでなく、実力も兼ね備えた書籍と言えるでしょう。

「普通の英文法とどう違うの?」と思われるかもしれません。

「英文法」と言うと、細かい知識や多くの例外に嫌気がしている学習者が多いと思います。

その反対に、しゃれた表現や細かい知識を身につけることに喜びを感じる人も多いですよね。

しかし、近年、読み書き重視の学習への批判の高まりとともに、スピーキング能力の向上のための学習法が注目されています。

そこで注目されているのが「話すための英文法」です。

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どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
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必ずものになる話すための英文法
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「話すための英文法」の目指すところは、中学レベルの文法項目にターゲットを絞り、英文を考え込むことなく、瞬時に楽々と作り出す能力の習得にあります。

テストで高得点を取るための知識を詰め込む「お勉強」ではなく、話すための実践的な「トレーニング」に重点が置かれています。

この考え方が世間に浸透したのは、次の2人の著者の絶大な影響にあります。

「話すための英文法」シリーズとは?

「話すための英文法シリーズ」とは、市橋敬三氏による独自のメソッドによる英語の思考回路を身につける英語の短文集となります。

(参考)市橋敬三氏による著書のごく1部
「必ずものになる話すための英文法(Step1〜7)
中学英語で言いたいことが24時間話せる(Part1・2)

必ずものになる話すための英文法シリーズは、超基礎編を含めると全9冊あります。そのレベルの違いは、以下の記事をご参考にしてください。

参考記事 ①「話すための英文法」シリーズ全9冊の違いを徹底解説

参考記事 ②隠れた名著!「中学英語で言いたいことが24時間話せる」レビュー

短文集と言っても、最近よく見かける場面別のフレーズ集と違い、文法項目ごとにテキストが構成されています。

例えば、

・You aren’t + 形容詞[(複数)名詞]

・How  much 不可算名詞

・the と a の使い分け

これのように、かなり詳しく分かれています。

英文法の例文の暗記を重視しているのが、特徴です。

英文法の例文の暗記を重視しているのは、ご自身の英会話学校を設立、指導の経験から基礎固めの重要性学んだことから作成されたものです。

英文法の例文を暗記することにより、英語の構造、発想を身につけさせ、一生忘れない“九九”のような強固な力をつけることが大切と説いています。

「話すための英文法」シリーズは、大きな書店では、かなりの冊数が取り扱われています。また、多くの英語の使い手の著名人が、絶賛していることでも有名です。

1冊当たり文法項目をかなりの分量を学習しますので、真剣に学習するとかなり力がつきます。後述の森沢氏の書籍に比べると全体的に例文で扱われる単語・熟語のレベルがかなり高くなっているのが特徴です。

「瞬間英作文」シリーズとは?

森沢洋介氏のシリーズには、学習法を詳しく書いた「英語上達完全マップ」と「話すための瞬間英作文トレーニング」シリーズ、「音読パッケージトレーニング」シリーズの3つに分かれます。それぞれ冊数は次の通りです。
(2019年4月現在)

・森沢洋介
英語上達完全マップ(1冊)
話すための瞬間英作文トレーニングシリーズ(5冊)
「音読パッケージトレーニング」シリーズ(3冊)

上記9冊のそれぞれの書籍の違いを詳しく知りたい方は、以下の参考記事をご確認ください。

参考記事どんどん?スラスラ?「話すための瞬間英作文」シリーズ全9冊の詳細

森沢氏も数多くの著書があり、どの本も非常に人気が高いです。

「瞬間英作文」「英作文回路」といったネーミングの絶妙さからも、多くの雑誌や書籍で紹介されています。

中学英語が、「わかる」から「できる」に移行できるよう、豊富なトレーニングで着実に実力を付けることができます。

また、トレーニングの負担を軽減するため、単語・表現等のレベルは基礎なものにとどめられています。

「話すための英文法」と「話すための瞬間英作文」の比較

市橋敬三氏と森沢洋介氏の書籍を中心に「話すための英文法」が身に付く本を紹介してきました。どちらも定評の良書ですので、浮気することなくコツコツた学習をすれば、確実に話す力がつくはずです。

ただ、どちらも人気の良書であり、コンセプトや構成が似ているので、選択に迷う人が多いはずです。

違う点を説明します。

①「話すための英文法」の方が扱う単語・熟語のレベルが高い

「話すための英文法」の方が、「瞬間英作文」よりも扱う単語のレベルが高いです。ちょっと違うレベルではなく、以下のように断然違います。

瞬間英作文の単熟語・・・中学レベルのみ

話すための英文法の単熟語・・・高校レベル以上を含む

「話すための英文法」をさらっと手に取っただけの人だと、「すごく簡単」というイメージが強いかもしれませんが、それは文法項目のレベルであって、単語・熟語は上級レベルも多いです。(もちろん、大部分は基本単語ですが。)

具体的に言うと、

Do you like 〜?

とか

I’m 〜.

このように文法レベルはそれこそ中1レベルからなのですが、〜の単語の部分が意外と手強いのです。

economic analyst(経済評論家)、Treasury bond(国債)、lap top(ノートパソコン)、eat a lot(大食家)、man of character(人格者)、only child(ひとりっ子)、lemon(欠陥車)

 

economic analystのように単語のレベル自体が高い単語もありますが、単語自体は、超基本単語ですが、only childのようにその組みわせで意外な意味になったりします。また、lemonのように単独で想像もしない意味もあります。

しかも、上記の単語はすべてSTEP1の入門編からの引用です。

その点、瞬間英作文に出てくる単語は、退屈なくらい教科書通りの意味になります。

money(お金)、doll(人形)、busy(忙しい)

このように、誰でも知る単語が、誰でも知る通りの意味になります。

ただ、気の利いた表現が多いから「話すための英文法」の方が優れているといのは、早計です。

この違いは、筆者の短文音読に関する考え方の違いから生じるのだと思います。

重要なことは、単語、表現などに難しい
ものが一
切無い、ばからしいほど簡単な
テキストを使う
ということです。

(中略)

まず、頭の中であれこれ考えなくとも基
本的な文が組み立てられる回路を作って
しまいましょう。そのためには知らない
語彙・表現を含まない単純な文で始める
のがいいです。英文を組み立てること以
外の一切の抵抗をトレーニングから取り
除く
ことができるからです。

ー英語上達完全マップ(P94〜95)より一部引用ー

私自身は、学習していて楽しいので、「話すための英文法」を選択しました。それは正しい判断だったと思っていますが、その判断は人のより違ってくるはずです。迷っている方はよく考えて見てください。

②「話すための英文法」の方が分量が多い

「話すための英文法」は、超入門編の2冊を除いても、STEP1〜7の7冊あります。

上級はかなり難易度が高いので、それを除いても、一通りの文法項目を一通り学習しようとすると、6冊学習する必要があります。

その点、「話すための瞬間英作文」シリーズは、「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」を1冊学習すれば、文法項目をひと通り網羅できます。(他の書籍は、続編だったり、シャッフルだったり、パターン・プラクティクスだたったりと目先を変えたものに過ぎません。)

ただでさえ、音読を繰り返すというのは、負荷が高い学習方法です。分量というのは、どちらを選ぶか判断する際の重要な要素になるはずです。

③「話すための英文法」の方が語句の解説が詳しく有益

「話すための英文法」も「話すための瞬間英作文」のどちらも基本は、英文と日本文の羅列ですが、解説もページ下部に若干あります。

「話すための英文法」・・・語句のヒント

「話すための瞬間英作文」・・・ワンポイントアドバイス

①の単語・熟語のレベルが高いに通じるものがありますが、話すための英文法の方が、断然に解説の詳しくて役に立ちます。

「話すための瞬間英作文」は、文法書の解説をコンパクトに一口サイズにしたような内容ですが、「話すための英文法」の方は、それなりに勉強してきた方でも目から鱗の内容が多いです。

例えば、

日本語のマンションは分譲であればcondo、賃貸であればapartment。英語のmansionは「お屋敷」。

ー必ずものになる話すための英文法 STEP1 P19よりー

 

「非常に」=veryと覚えている人が多い。veryもよく使われているがreallyのほうがより会話的。
 
This medicine’s really good.
(この薬は非常に効きます。)

ー必ずものになる話すための英文法 STEP1 P50〜51よりー

 

私は、この語句のヒントを読むのが、好きでした。これも判断の一つになると思います。

④それぞれのオススメの音読回数

「話すための英文法」では、80回の音読を推奨しています。ただし、80回の音読を目的にしないようにとも指摘しています。あくまで音読は、覚えるための手段です。

一方、「話すための瞬間英作文」は、学習法本「英語上達完全マップ」の中で、30回の音読を推奨しています。ただし、30回というのは本当に最低限の数字で、これ以上回数を落とすと極端に学習効果が薄くなるというものらしいです。

著者の森沢洋介氏は、ご自身の学習の際には、同時通訳の神様の國弘正雄氏の著書で提唱される「只管朗読」メソッドに従って、中学テキストを1冊500冊の音読は忠実に守ったそうです。

そして、重要なことは、森沢氏は、音読の暗記を重視していません。

音読パッケージを完成するとテキストの
英文の相当部分を暗記してしまっている
でしょう。
しかし、それは結果として起こった暗記
であり、副次的なことです。音読パッケ
ージの目的は英文
を表層的に記憶するこ
とでなく、英文を支える英
語的エッセン
ス(構文・文法・語彙・レトリック
など)
を吸収し自分の中に沈めていくことです。

ですから、一時的に暗記した英文はしば
らくすると忘れてしまいますが、一向に
構いません。取り込んだ英語のエッセン
スは確実にあなたの内部に堆積していく
からです。

ー英語上達完全マップ(P80)よりー
英文を体内に染み込ませるような感覚を重視しているようです。

②「話すための英文法」の方が扱っている書店が若干少ない

どちらも人気のベストセラーですので、大手の書店ではたいてい扱っていますが、中規模の書店の場合は、「話すための英文方」の在庫がない場合がやや多いです。

シリーズの冊数も多いので、在庫はあっても、自分が欲しいSTEPの書籍がなかったりすることもあり得ます。

もちろん、ネット経由での購入も可能ですが、中身を全部見比べてから決めたい人にはデメリットでしょう。

音読本を楽しく続ける工夫

スピーキング能力を伸ばすテキストとして「話すための英文法」や「話すための瞬間英作文」シリーズは、本当に優れています。

ただし、一番のデメリットは、中学レベルの短文の音読を繰り返すという作業が、あまりに単調すぎる点です。

地道な努力を続けても、成長している実感が持ちにくいのです。悪い意味で、慣れが生じてしまいます。

そこで、慣れやダレを避けるために、オンライン英会話を併用する学習者が増えています。

空手でも型の練習をしているだけでは強くなりません。実際に人と戦うという実戦を通じて、型の有効性や自分に足りない点を発見することができます。

音読は優れた英会話習得のメソドッソですが、上達の手段であって、目的ではないはずです。

オンライン英会話スクールで「試合」をすることで、毎日の「練習」に意味を持たせるように工夫するといいでしょう。

比較のまとめ

日本人の平均的な英語学習者は、話す練習が圧倒的に足りていないはずです。

ですから、『話すための英文法』『話すための瞬間英作文トレーニング』シリーズは絶対のお勧めですし、実際に多くの英語関係者が絶賛している本です。

ただし、絶対的に役立つ本であることは間違いないはずなのですが、挫折しやすい要素もあります。

その点、『話すための瞬間英作文トレーニング』の方が、1冊で全文法項目を完結していますので、達成感を味わいやすかもしれません。(1冊やり遂げるのも大変な労力が必要ですが。)

ただ、本気の決意のある人、語句のレベルが高いものを求める方は、『話すための英文法』を選んでみましょう。やり遂げと時の充足感は尋常ではありません。

 

以上、比較でした。

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