TOEICの文法対策は、頻出パターンを把握すれば比較的短時間で高得点を狙えます。特に大学受験でしっかり勉強された方は、Part5・6は短時間で得点しやすい分野です。
定評のある教材の中から、おすすめの参考書&問題集をご紹介いたします。
念のため対象となる文法対策の範囲を図示すると、次の通りです。
TOEICのリーディング・セクション | ||
Part5 | 短文穴埋め問題 | ◎ |
Part6 | 長文穴埋め問題 | ◎ |
Part7 | 読解問題 | △ |
Part5とPart6の文法問題を機械的にスピーディーに処理をして、難化傾向の続くPart7に時間を使えるようにするのが、完答するためのコツと言えるでしょう。
大学受験の文法であれば、実況中継シリーズや『総合英語Evergreen』などの定評のある文法書を読んで覚えるという勉強法をとることもありますが、TOEICでは繰り返し出題される問題を繰り返し解きまくるのがスコアアップのコツです。
もちろん、間違えた問題をなぜ間違えたのかをしっかり分析する復習も大切です。
TOEICのPart5と6で求められる力とは?
TOEICのPart5・6で高得点を取る戦略を考えるには、そこで求められる力を理解しなければなりません。
☞ 時制、態(受け身、能動態)、名詞(単数・複数、可算・不可算)など
・語法
☞ insist on、stick toなどその単語特有の使い方
・構文
☞ 構造が複雑な1文の中で、どこまでがSで、どれがVになるか見分ける力
TOEICのPart5・6では、これらの3つの力が必要になります。
一つずつ詳しく説明していきます。
英文法の力
英文法は英語を学習する者にとって、必須の事項です。
ご存じの通り英文法の範囲は広大ですが、TOEICで問われやすい項目は限られています。(ただし、英文法は英語を理解する上で、基礎となりますので全般的な理解は大切です。)
例えば、名詞の可算名詞・不可算名詞の区別はTOEICでは狙われやすいです。
a parking ( )・・・駐車許可書
( )の中に入る単語は、permissionとpermitのどちらが入るでしょうか?
カッコの中は名詞が入るとすぐ分かると思います。
接続詞 ・・・後ろにS(主語)+V(動詞)がくる
このように前置詞と接続詞の構造の違いをしっかり理解していれば、日本語訳をしなくても、正解にたどり着くことができます。
語法の力
語法とは、insist on、stick toなどその単語特有の使い方のことです。
例えば、“dispose”という動詞を見たら、“dispose of ~(~を処分する)”を熟語してすぐ思い浮かべられるかが大切です。
こういった力は、熟語集をコツコツで覚えることで身につきます。
また、TOEICではある動詞が他動詞として使われるのか、自動詞として使われるかもよく問われます。
構文の力
構文の力は、主に長文読解のときに威力を発揮しますが、TOEICのPart5・6対策でも必要となります。
TOEIC対策としては、瞬時に一文のSとVを見抜く力が必要となります。
そういった構文力は、一般的に英語構文や英文解釈の参考書に取り組むことで身につきます。
ひと口に「TOEICのPart5・6対策」と言っても、上記の3つの力が必要になります。
これから3つの力が備わっている方は、Part5・6の類似問題を数多く解いて、スピーディーに処理する訓練が必要です。
また、どれか欠けている方は、TOEIC対策と並行してその分野を自力で強化することを考えなければなりません。
そもそも実力的にどれも自信がない方は、英文法からしっかり学ぶのが正攻法と言えるでしょう。
初級者向けPart5・6対策のおすすめ参考書
TOEICで高得点を狙うには、TOEICに特化した参考書を使うのが基本です。しかし、初級レベルの方に関しては、TOEICに出る出ないに関わらず最低限の基礎は習得しなければなりません。
初級レベルとは、中学レベルや高校初級レベルに自信がない方です。
このレベルだと、TOEICに特化した参考書ではなく、一般的な学習参考書にいいものがたくさんあります。
おすすめの2冊を易しい順に紹介します。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。
英文法
中学レベルの超基礎からやり直せて、解説動画もありコスパ最強!
中学レベルの超基礎からやり直せるので、英語アレルギーの方にもお勧めです。
英文法の習得には読んで理解するだけでなく、実際に自分で英文を書いたり音読する必要がありますので、ドリル形式で勉強しやすい1冊です。
勉強嫌いの方でも、サクッとやり通せると人気の1冊です。
次の動画は、著者の山田暢彦先生による解説動画になります。自分に合うか迷っている方は参考にしてみてください。
大岩のいちばんはじめの英文法(超基礎文法編)
英文法
東進ハイスクールの人気講師が中学レベルからの「超基礎」英文法を講義形式で教える良書!
高校英語があやふやだったり、チンプンカンプンだったの人のやり直し英語に最適の1冊。
高校時代にこう教わっていたら英語が好きになれたのにと思わずにはいられない良書です。カラフルかつ豊富な図解で、英文法を苦手にする人にも取り組みやすいです。
中学レベルの英語に少し不安がある人などが、一気に読んで苦手意識を克服するのにお勧めです。
中級者向けPart5・6対策のおすすめ参考書
TOEIC受験者のボリュームゾーン、つまり600点前後の中級者にオススメなのは次のルートです。
⇒ TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問
この2冊を徹底的に繰り返すことで、TOEICに必要な文法の力が身に付きます。
時間がない人は、『1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急』だけでもマスターしましょう。コンパクトながら密度の濃い1冊ですので、これだけでも得点力が大幅にUPするはずです。
中級レベルのPart5&Part6対策に必要なのは、必要な正答につながる道筋を最短で見つける技術を身につけることです。
テクニック的なことを強調すると、『本物の英語力がつかない・・・』と嫌がる人も多いのですが、限られた時間で膨大な問題集を処理するTOEICに無策で挑む方が愚かだと言えます。
TOEICで高得点を取るためには、割り切って次の2冊をマスターすべきです。
1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急
英文法語法構文
TOEICの英単語と言えば『金フレ』、TOEICの文法書と言えば『文法特急』と受験生なら誰もが知っているであろう名著です。名作揃いの特急シリーズの中でも断トツの支持を得ている1冊ですので、詳しく説明いたします。
TOEICの文法問題を最短で正解に導く独自のメソッドで他の追随を許さない名著!
ほぼ毎回のように出題される最優先事項を学べる
TOEICで問われる文法問題はかなり偏っています。網羅的な文法書を通読するよりも、優先順位の高いものから、ガンガン問題を解いていくのが、スコアアップの近道です。
例えば、doubleという単語は、大学受験経験者なら、a double ●●のように形容詞として覚えている方がほとんどですが、TOEICなら「2倍にする(なる)」というように動詞での使い方を問われることがほとんどです。
例)double the number of ~
~の数を2倍にする
読者目線の分かりやすい解説
文法問題を漠然と解くのではなく、きちんとしたルールに従って解けるようになるよう解説されています。コンパクトですが、中身の濃いものになっています。感覚に頼って、文法問題を解いていた方には目から鱗の内容です。
例えば、文法の急所56には、<anotherとotherの見極め所は名詞の単・複と冠詞!>と解説されています。
これは、
bring _____ copy of the report to the conference room.
下線部には、(A)another (B)each other (C)other (D)one anotherのどれが入るかという問題の解説ですが、
other copies →不特定多数
the other copy →2部あるうちのもう片方
この説明を見れば、下線部には“another”が入ると分かります。このように分かりやすくポイントが示されています。
レベル別に出題されている
徐々に難易度が上がっていきますので、無理なく学習することができます。
初級編(まずは550点)
☞ 絶対におさえるべき23題 + スピードを手に入れる19題
中級編(しっかり730点)
☞ 苦手分野を克服する14題 + 意外な落とし穴を回避する20題 + 一気に駆け抜けるPart6 12題
上級編(目指せ!900点越)
☞ ここで差がつく15題 + 最高峰を目指す15題
『文法特急』関する詳しいレビュー記事は、以下の関連記事をご覧ください。
[getpost id=”9162″ title=”関連記事” ]
ちなみに、文法特急には以下の通り続編があります。こちらも人気です。
TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問
英文法語法構文
本の厚みにビビるほどボリューム感満点!文法書界の“ラーメン次郎”
名著『1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急』の唯一の欠点ともいえる、問題量の少なさです。
その弱点を補える1冊が『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』です。
『金のフレーズ』の著者・TEX加藤氏による文法書です。Part5の問題だけを1000問以上収録しています。
1000問越えの問題量に目が行きがちですが、詳しい解説もこの本の特徴です。
500~900点台までと幅広い目標スコアの人に対応していますので、決して難問・奇問を集めた問題集ではありません。
『文法特急』から『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』へと進むのをお勧めしますが、いきなりこちらの本から取り組むのもアリです。
世界一わかりやすいTOEICテストの英文法
英文法語法構文
TOEICに必要な文法事項を網羅しながらも分かりやすいと評判の1冊!
『文法特急』と『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』の解説を難しいと感じる方には、こちらから学習するといいでしょう。前述2冊でサラッと解説されているところを、丁寧に説明されています。
英語から離れていて、文法からやり直したい学習者も多いでしょう。かと言って、大学受験用を文法書をやり直すと時間もかかって、本番まで時間がない人には負担になります。(ただし、将来的にTOEICで高得点を取りたいと考える人は、大学受験レベルの文法書1冊はほぼマスターしたいところです。)
TOEICに特化した英文法を学べるので、英語力UPとTOEICの得点力UPをバランス良く実現できます。
今井の英文法教室(上)(下)
英文法
大学受験レベルの高校英語を駆け足で習得できる!しかも分かりやすい!おすすめの1冊
(上)(下)巻ありますが、読みやすく一気に読破することも可能です。
TOEICに特化した参考書ではありませんが、高校レベルの英文法は、高得点を目指すならいずれはマスターしたいところです。時間がなければ、辞書替わりに使うもよし、苦手分野だけ熟読するのもいいでしょう。
単元の初めにまずいくつかの例文があり、それを和訳します。
それらの例文をどう訳すのか?
その過程で必要となる文法項目の解説があります。
高校生のはじめての文法書としても使えますし、一通りは英文法は学んだが苦手意識のある方にも使えます。幅広い読者層にフィットするはずです。
【下巻もあります】
今井の英文法教室(下) 大学受験英語 (東進ブックス) [ 今井宏 ]
大学受験スーパーゼミ 全解説 頻出英熟語問題1000
語法
TOEICのPart5・6に頻出の語法を一気におさらいできる1冊!
『頻出英熟語問題1000』は、TOEICに特化した問題集ではありませんが、熟語や語法の十分な知識が身につきます。しかも、大学受験用の学習参考書なので、TOEICに特化したものより割安で購入できるのも嬉しいです。
語法とは、以下のようなその単語特有の使い方です。imposeならonと相性がいいなど、コツコツと暗記する必要があります。
impose A on B 「AをBに押し付ける」
excuse A for B 「BのことでAを許す」
suspect A of B 「AにBの嫌疑をかける」
『1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急』や『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』は、こういった語法の知識がある程度ないとチンプンカンプンになるかと思います。
語法問題を苦手にしている学習者は多いですが、すごく解説も丁寧ですので、この1冊を仕上げるとかなりの実力がつくはずです。かなりお勧めの1冊です。
入門英文解釈の技術70
構文
複雑な英語構文を見抜くにはこの1冊で充分!
Part5・6では、多少複雑な構文のものが出題されます。
一部の難関大学のような難解な文章はほとどんど出題されないものの、分詞や副詞などが複雑に絡み合った文章の構造を一瞬で見抜けるようになるためには、それなりの訓練が必要です。
大学受験用の英文解釈の参考書は、かなり質が高い良書が揃っていますが、その中でもかなりの人気がある1冊です。
向けPart5・6対策のおすすめ参考書
TOEIC900点以上の上級者向けの文法対策は、中級レベルに比べると出版されている数も限られますが、おすすめの問題集を紹介します。
TOEIC L&R TEST900点特急パート5&6
英文法語法構文
上級者でも間違えやすい文法のポイントだけがまとめられている1冊!
TOEIC900点を目指す方向けの難しめの問題を取り扱っていますので、現状で700点以上の方が取り組むといいでしょう。高得点を目指す方は、文法特急をマスターした後の1冊としておすすめです。
Part5とPart6の対策として、難易度の高い問題に挑戦できます。TOEIC本番で8割超える人でも、半分正解できるかという難易度です。
しっかり考えて、根拠を持って解答するように心がけましょう。難問が多いですが、解説が分かりやすいので挫折はしにくいと思います。
ただし、この本で丁寧に考えるクセがつくあまり、標準的なレベルの問題までもスピードを落とさないように注意してください。
Part5・6対策のまとめ
高校時代や大学時代にしっかり英語を勉強してきた方は、
『1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急』
『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』
これらの問題集がおすすめです。
しかし、基礎部分が抜けている学習者は必要に応じて、足りない部分を補うことが必要です。英文法・語法・構文それぞれの分野で役立つ参考書や問題集を紹介してきましたので、
ぜひ、参考にしてください。
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