「村上式シンプル英語勉強法」は、元・米google副社長の村上憲郎氏が、31歳から独学で英語を身につけた「必要なことしかやならい」最強の勉強法を伝授したものです。
元・米グールグル副社長ですから、帰国子女とか海外留学経験者をイメージされる方も多いと思いますが、村上氏は、大分県生まれの大分育ちで、初海外旅行も31歳とのことです。
エンジニアとして20代を過ごした著者が、30代で外資系のコンピューター会社に転職して一念発起し、忙しいなか時間をやり繰りして「使える」英語を身につけた方法ですので、平均的ビジネスマンも共感できる本です。
従来の英語学習本と比べると型破りな学習法ですが、その分、いろいろな本にも引用されていますので、どんな方が読んでも「これは参考になる!」という箇所が必ず見つかるはずです。
もちろん簡単・楽チンに英語を身につけるという本ではなく、それなりに学習量と時間を確保しなくてはなりません。
この本は、
・Prologue
・Chapter1(英語を読む)
・Chapter2(単語を覚える)
・Chapter3(英語を聴く)
・Chapter4(英語を書く)
・Chapter5(英語を話す)
・Epilogue
から成っています。このなかから、村上式の英語に対する考え方が、最も分かるPrologueと私が最も影響を受けたChapter1を紹介しました。
プローログ
英語は“2台目の自転車”である
この言葉は、他書でもよく引用される箇所です。
村上氏の英語に対する距離感を表しています。英語学習法を出版するほどの方は、たいていは英語に魅了されれ、英語を極めることに生涯を捧げ、全エネルギーを英語の習得に費やしていると言っても過言ではありません。
しかし、村上氏は、日本語が“1台目の自転車”とするならば、英語という名の“2台目の自転車”にグラグラしてもいいからとにかく乗れるようになることを目指すことを提唱しています。
英語は、「グローバル社会を走り回るための手段であり、道具」なのであり、決してを英語を見つけることを「目的」にしないと割り切っていると思われます。
そして「英語を頭で考えない。英語を体に覚え込ませる。」ということを基本ポリーシーにして英語勉強法を展開されています。
また、これからの日本人が英語を学ぶ必要性を強く主張されています。
その主張に関しても、グローバル企業の元副社長らしく説得力を持っています。
・英語が出来なきゃ、毎日の情報に遅れる
・英語が出来ない日本人は“ヤバい”
・ビジネスマンよ、城島選手を目指せ
・もう遅いなんてことは、絶対に、ない!
これらのテーマで、小さくなっている“世界”の現状で、英語が出来ないということが、これからどれだけマイナスなのかと耳が痛い話が列挙されています。
Chapter1(英語を読む)
Chapter1では、「英語を読む」をテーマに書かれています。
「日本人は、英語は読めるけど、話せない」という定説を否定し、
日本人のほとんどは英語を読めていません。
と主張されています。
英語を読むとは、
・分かっている単語は英語のまま
・出来る限り英語の語順のままで英語を、英語のまま、「内容を英語で読む」ということだ。
これが、村上式の英語学習法で私が最も影響を受けた内容です。
具体的にどう読んでいけばいいのかに興味がある方は、著書を一度読んで頂きたいのですが、目から鱗の内容でした。
私もこの書籍を読んでから、自分のリーディングレベルより一段落とした英文と自分のレベル合った英文をチャンポンにして多読しました。
英単語から日本語を介して読まず、英文は仮に意味が取れなくても左から右に一定の速度を落とさず読む訓練をしました。
最初の1ヶ月は、一冊最後まで読み切っても、何について書いた文章だったの全く分からない状態のときもありました。(恐らく、返り読みをしながらじっくり読んだら理解できた文章だったと思います。)
ただし、村上式勉強法に従って、「日本語の世界観」を「英語の世界観」に塗り替えるべく多読を積んだ結果かなりの量の文章を読み込めました。
その結果、3ヶ月程経つと目に見る成果が出てきました。最初は、とても不安がある学習法ですが、そこを乗り越えると大きな進歩があるはずです。
どうしても、完全に意味を取る精読だと量が不足します。一定の速度を強制することによって毎日目にする英文が増えた結果、リーディング力がかなりついたのではと思います。
この方法で、「日本語と同じように英語読めるようになること」を目標と村上氏は書かれています。
そのためには、どの程度の分量を読めばいいのかと言えば、英単語にして300万語と書かれています。小説にして約30冊、ノンフィクションにして約15冊分に相当するとのことです。
大変かもしれませんが、妥当な数字だと思います。
是非、限られた時間で英語を習得しなければならないビジネスマンに一読していただきたいお勧めの本です。
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