ルネサンスから北方ルネサンス、そして宗教改革につながる流れは、大学入試世界史でも頻出のテーマです。特に、思想家・著作・芸術家・代表作を正確に押さえることが高得点のカギになります。
この記事では、穴埋め問題・正誤問題・論述問題をバランスよく配置し、ルネサンス関連の重要ポイントを網羅しました。
さらに「科学」「文学」「芸術」などジャンル別に見出しを分けているので、自分の苦手分野を効率よく演習できます。
目次
第1章 ルネサンスの基本事項(一問一答)
15世紀から16世紀にかけて、イタリアを中心に展開したルネサンスは、人間中心主義(ヒューマニズム)を軸に、中世的価値観を大きく転換させました。
ここではまず、ルネサンスの時代背景と特徴に関する穴埋め問題で基礎を固めましょう。
ルネサンスの時代背景と特徴(穴埋め15問)
- 14世紀末から16世紀にかけて、イタリアを中心に広がった古典文化復興運動を何というか。
-
ルネサンス(Renaissance)
- ルネサンスは「再生」を意味するフランス語だが、特に何の再生を指すか。
-
古代ギリシア・ローマ文化の再生
- ルネサンスの思想的基盤となった、人間性や理性を重視する考え方を何というか。
-
人文主義(ヒューマニズム)
- ルネサンスの中心都市で、メディチ家の保護のもと文化が栄えた都市はどこか。
-
フィレンツェ
- ルネサンス期に活躍したメディチ家は、どのような方法で芸術家を支援したか。
-
パトロン(資金援助者)として保護した
- ルネサンスを支えた経済的基盤となった、イタリア諸都市の経済活動を何というか。
-
地中海貿易(東方貿易)
- 東方貿易で栄えたイタリアの海港都市で、ルネサンス芸術の中心地のひとつはどこか。
-
ヴェネツィア
- ルネサンス期のローマでは、特にどのような芸術活動が盛んだったか。
-
教皇庁による大規模建築や宗教芸術の保護(例:サン・ピエトロ大聖堂)
- ルネサンスの思想を象徴する言葉で、「人間は自らの運命を切り開く存在である」という考えを表す言葉は何か。
-
人間中心主義
- ルネサンスの思想家ペトラルカは、古典ラテン文学の再発見と何の創始者として知られるか。
-
人文主義(ヒューマニズム)の創始者
- ルネサンス期には科学技術も発展したが、その背景にあった技術革新の一つである、グーテンベルクによる発明は何か。
-
活版印刷術
- 活版印刷術の普及により、ルネサンスの思想や知識はどのように広まったか。
-
聖書・古典・思想書が大量印刷され、ヨーロッパ各地に急速に拡散した
- ルネサンス期に栄えた人文主義者の学問方法で、古典文献の再検討を重視する研究手法を何というか。
-
文献学(フィロロギア)
- ルネサンスが最初に開花したのはなぜイタリアだったのか。理由を一つ挙げよ。
-
東方貿易で富を蓄積した都市国家が存在し、芸術活動を資金面で支援できたため
- ルネサンスと中世の世界観の大きな違いを一言で述べよ。
-
神中心から人間中心へ価値観が転換した
ルネサンスの人文主義と思想家(穴埋め20問)
- ルネサンス期に、ギリシア・ローマの古典研究を重視し、自由な思考を促した新しい学問を何というか。
-
人文学
- 人文主義の父と呼ばれる人物で、古典ラテン文学の再発見に尽力した詩人は誰か。
-
ペトラルカ
- 『叙情詩集』で知られるペトラルカは、特に誰への愛を歌った作品が有名か。
-
ラウラ
- 「万能人」と呼ばれる理想像を提唱した人文主義者で、著書『人間の尊厳について』で知られるのは誰か。
-
ピコ=デラ=ミランドラ
- ピコ=デラ=ミランドラの思想を象徴する概念で、人間が自由意志により自らの運命を切り開けるという考え方を何というか。
-
人間の尊厳
- フィレンツェを拠点に活動した人文主義者で、『君主論』を著したのは誰か。
-
マキャヴェリ
- 『君主論』でマキャヴェリが主張した政治思想を一言で表すと何か。
-
権謀術数(目的のためには手段を選ばない現実主義的政治観)
- マキャヴェリが活動したフィレンツェは、ルネサンス期にどの一族の支援で栄えたか。
-
メディチ家
- ギリシア古典文化の研究を復興させた、ビザンツ帝国出身の学者は誰か。
-
プレトン(ゲオルギオス=ゲミストス)
- 『ドン=キホーテ』を著し、騎士道を風刺したスペインの作家は誰か。
-
セルバンテス
- 『エセー(随想録)』を著し、「ク・セ・ジュ(私は何を知るか)」という懐疑主義を展開したフランスの人文主義者は誰か。
-
モンテーニュ
- 『地動説』を唱えたポーランドの天文学者で、科学革命の端緒を開いた人物は誰か。
-
コペルニクス
- 『ユートピア』を著し、理想社会を構想したイギリスの人文主義者は誰か。
-
トマス=モア
- トマス=モアが『ユートピア』で描いた理想社会の特徴を一つ挙げよ。
-
私有財産を廃止し、平等な社会を実現すること
- 『愚神礼賛』を著し、聖職者を批判したオランダの人文主義者は誰か。
-
エラスムス
- エラスムスが刊行した新約聖書の校訂版は、後の宗教改革にどのような影響を与えたか。
-
聖書重視の考えを広め、ルターら宗教改革者に思想的基盤を与えた
- 「エラスムスが産んだ卵をルターがかえした」という言葉は、北方ルネサンスと何との関係を象徴しているか。
-
宗教改革
- 『神曲』を著し、中世からルネサンスへの過渡期に位置づけられるイタリアの詩人は誰か。
-
ダンテ
- 『デカメロン』を著し、人間性豊かな短編小説でルネサンス文学を先駆けた作家は誰か。
-
ボッカチオ
- ルネサンス人文主義者の活動に共通する目的を一言で述べよ。
-
人間性の解放と古典文化の復興
ルネサンスの芸術と代表作(穴埋め20問)
- 「万能人」と称されるルネサンスの巨匠で、『最後の晩餐』『モナ=リザ』などを描いたのは誰か。
-
レオナルド=ダ=ヴィンチ
- レオナルド=ダ=ヴィンチが描いた、イエスと12使徒の最後の食事をテーマにした代表的宗教画は何か。
-
『最後の晩餐』
- レオナルド=ダ=ヴィンチが描いた、微笑む女性像で世界的に有名な絵画は何か。
-
『モナ=リザ』
- ルネサンス三大巨匠の一人で、『ダヴィデ像』『最後の審判』を手がけた芸術家は誰か。
-
ミケランジェロ
- ミケランジェロがサン=ピエトロ大聖堂のために設計した巨大な建築物は何か。
-
サン=ピエトロ大聖堂のクーポラ(円蓋)
- ミケランジェロがシスティナ礼拝堂の天井に描いた旧約聖書の創世記をテーマにした大作は何か。
-
『天地創造』
- バチカン宮殿にあるシスティナ礼拝堂の壁画『最後の審判』を描いたのは誰か。
-
ミケランジェロ
- 「ルネサンスの画聖」と呼ばれ、『アテネの学堂』など古代ギリシア哲学者を描いた大作で知られるのは誰か。
-
ラファエロ
- ラファエロが描いた聖母子像の代表作で、柔らかな人物表現が特徴的な作品は何か。
-
『システィナの聖母』
- ラファエロがバチカン宮殿の署名の間に描いた代表的壁画で、プラトンやアリストテレスを描いた作品は何か。
-
『アテネの学堂』
- ルネサンス初期の画家で、遠近法を確立し『聖三位一体』を描いた人物は誰か。
-
マザッチオ
- ルネサンス初期の建築家で、フィレンツェ大聖堂のクーポラを設計したのは誰か。
-
ブルネレスキ
- フィレンツェの洗礼堂の「天国の門」と呼ばれるブロンズ扉を制作した彫刻家は誰か。
-
ギベルティ
- ルネサンス初期の彫刻家で、『ダヴィデ像』を制作した人物は誰か。(※ミケランジェロではない)
-
ドナテッロ
入試対策ポイント ダヴィデ像=ミケランジェロでないこともある!
- 「ルネサンス初期」「青銅製」「人間らしさの表現」→ ドナテルロ
- 「ルネサンス盛期」「大理石製」「理想化された巨像」→ ミケランジェロ
- 油彩技法を発展させ、細密な写実表現を可能にしたフランドル地方の画家は誰か。
-
ヤン=ファン=エイク
- ヤン=ファン=エイクの代表作で、宗教的象徴が多く用いられた結婚画は何か。
-
『アルノルフィーニ夫妻像』
- ルネサンス期の美術で発達した技法で、遠近感を強調するために用いられた表現方法を何というか。
-
遠近法(透視図法)
- 絵画における明暗の対比を利用し、立体感を強調する技法を何というか。
-
明暗法(キアロスクーロ)
- サン=ピエトロ大聖堂の改築を命じたローマ教皇は誰か。
-
レオ10世(メディチ家出身)
- ルネサンス芸術に共通する特徴を一言で述べよ。
-
人間中心主義に基づく理想美と写実性の融合
ルネサンスの科学と自然観(穴埋め15問)
- 『天球回転論』を著し、地動説を唱えたポーランドの天文学者は誰か。
-
コペルニクス
- コペルニクスの地動説では、宇宙の中心に何があると考えたか。
-
太陽
- 地動説を支持し、木星の衛星や太陽黒点を観測したイタリアの科学者は誰か。
-
ガリレオ=ガリレイ
- ガリレオ=ガリレイが観測に用いた新しい技術革新は何か。
-
望遠鏡
- ガリレオ=ガリレイがローマ教会から異端審問を受けた際に唱えた有名な言葉は何か。
-
「それでも地球は回っている」
- 惑星が太陽の周りを楕円軌道で公転するとする「惑星運動の法則」を発見したドイツの天文学者は誰か。
-
ケプラー
- 宇宙を無限と考え、地球外生命の可能性を主張したため火刑に処されたイタリアの思想家は誰か。
-
ブルーノ
- ルネサンス期に人体解剖を進め、『人体解剖図』を出版したベルギーの医学者は誰か。
-
ヴェサリウス
- 血液循環を発見したイギリスの生理学者は誰か。
-
ハーヴェイ
- 「近代科学の父」と呼ばれ、観察と実験を重視する帰納法を提唱したイギリスの哲学者は誰か。
-
フランシス=ベーコン
- フランシス=ベーコンが提唱した、観察や実験から法則を導き出す科学的方法を何というか。
-
帰納法
- 数学的演繹法を確立し、「我思う、ゆえに我あり」と述べたフランスの哲学者は誰か。
-
帰納法
- デカルトが著した著作で、方法的懐疑を通じて確実な知識を追求したものは何か。
-
『方法序説』
- ルネサンス期の自然観は、中世スコラ哲学的世界観からどのように転換したか。
-
神中心から自然中心へ、観察と実証を重視する姿勢へ転換した
- ルネサンスの科学的探究と古典復興の共通点を一言で述べよ。
-
権威に依存せず、観察・実験・理性を重視した姿勢
ルネサンス期の文学と著作(穴埋め15問)
- 『神曲』を著し、中世からルネサンスへの橋渡しをしたとされるイタリアの詩人は誰か。
-
ダンテ
- ダンテの『神曲』は、地獄・煉獄・天国を巡る旅を描いた作品だが、その旅を案内する古代ローマの詩人は誰か。
-
ウェルギリウス
- 『デカメロン』を著し、ペスト禍の中で人間味あふれる短編小説をまとめたイタリアの作家は誰か。
-
ボッカチオ
- 『ドン=キホーテ』を著し、騎士道を風刺したスペインの作家は誰か。
-
セルバンテス
- セルバンテスの『ドン=キホーテ』で、主人公が風車を巨人と勘違いして戦う場面は何を象徴しているか。
-
時代遅れの騎士道精神を風刺している
- 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』を著し、人間解放と享楽的精神を描いたフランスの作家は誰か。
-
ラブレー
- ラブレーの作品に見られる、人間性を肯定し自由な精神を称賛する思想を何というか。
-
人間解放思想(ルネサンス的享楽主義)
- 『エセー(随想録)』を著し、「ク・セ・ジュ(私は何を知るか)」という懐疑主義を展開したフランスの思想家は誰か。
-
モンテーニュ
- 「ルネサンス演劇の完成者」と呼ばれるイギリスの劇作家で、『ハムレット』『マクベス』などで知られるのは誰か。
-
シェイクスピア
- シェイクスピアの四大悲劇をすべて答えよ。
-
『ハムレット』『オセロ』『マクベス』『リア王』
- シェイクスピアの代表的喜劇作品で、恋愛と錯綜した人間模様を描いた作品を1つ答えよ。
-
『真夏の夜の夢』
(※他に『十二夜』『ヴェニスの商人』も頻出)
- シェイクスピアが描いた歴史劇で、薔薇戦争を題材にした作品群を何というか。
-
『ヘンリー6世』や『リチャード3世』など「薔薇戦争四部作」
- 『愚神礼賛』を著し、教会や聖職者を風刺した北方ルネサンスの思想家は誰か。
-
エラスムス
- 『ユートピア』を著し、平等社会を描いたイギリスの人文主義者は誰か。
-
トマス=モア
- ルネサンス文学全体に共通する特徴を一言で述べよ。
-
人間性の肯定と個性の尊重、自由な精神の表現
第2章 北方ルネサンスの基本事項
15世紀末から16世紀にかけて、ルネサンス文化はアルプスを越えて北ヨーロッパへ広がり、北方ルネサンスとして独自の発展を遂げました。
イタリア・ルネサンスと同じく古典文化の復興を志向しながらも、北ヨーロッパでは信仰と人間性の調和を重視する思想が生まれます。これが宗教的人文主義です。
北方ルネサンスの思想は、やがてルターやカルヴァンによる宗教改革を後押しする大きな力となりました。また、エラスムスやトマス=モアといった思想家の著作、デューラーやブリューゲルら芸術家の作品、そしてグーテンベルクの活版印刷術など、この時代を理解するために重要な要素が数多く登場します。
ここでは、北方ルネサンスの特徴や思想、芸術、宗教改革との関わりを、一問一答形式で効率よく確認します。
イタリア・ルネサンスとの違いを意識しながら学習することで、より深い理解につながります。
北方ルネサンスの特徴と宗教的人文主義(穴埋め15問)
- 15世紀末以降、ルネサンス文化がイタリアからアルプス以北へ広がった動きを何というか。
-
北方ルネサンス
- 北方ルネサンスの中心となった地域を3つ答えよ。
-
フランドル地方(現在のベルギー)、ドイツ、イングランド
- 北方ルネサンスはイタリア・ルネサンスと共通して古典復興を目指したが、大きな違いは何か。
-
宗教的テーマを重視し、信仰と人間性の調和を求めた
- 北方ルネサンスを支えた思想の中心となった、人間性と信仰を融合した考え方を何というか。
-
宗教的人文主義
- 北方ルネサンスの思想家たちは、信仰の在り方についてどのような姿勢を取ったか。
-
教会や聖職者よりも個人の内面的信仰を重視した
- 北方ルネサンスの代表的思想家で、『愚神礼賛』を著した人物は誰か。
-
エラスムス
- エラスムスが出版した新約聖書のギリシア語校訂版が後に与えた影響は何か。
-
聖書重視の思想を広め、宗教改革に思想的基盤を与えた
- 北方ルネサンスの思想家トマス=モアの代表作で、理想社会を描いた著作は何か。
-
『ユートピア』
- トマス=モアの『ユートピア』で描かれた理想社会の特徴を一つ答えよ。
-
私有財産を否定し、平等で調和の取れた社会
- 北方ルネサンスが宗教改革に大きく貢献した要因の一つで、思想や聖書を急速に普及させた技術革新は何か。
-
グーテンベルクの活版印刷術
- 活版印刷術の普及によって、宗教的人文主義はどのように広まったか。
-
聖書・思想書が大量印刷され、一般市民にも届くようになった
- 北方ルネサンス期に、宗教的信仰の純粋性を重視する立場から教会の堕落を批判した思想家たちは、どのような目標を持っていたか。
-
カトリック教会を内部から改革しようとした
- 北方ルネサンスと宗教改革の関係を象徴する有名な言葉で、「エラスムスが産んだ卵をルターがかえした」というフレーズは何を意味するか。
-
宗教的人文主義の思想が宗教改革の出発点となったこと
- 北方ルネサンスの特徴的な芸術スタイルで、宗教的寓意を込めつつ民衆の生活を細密に描いた作品を多く残した画家を1人挙げよ。
-
ピーテル=ブリューゲル(農民の婚宴・バベルの塔など)
- 北方ルネサンスが中世的価値観をどのように変化させたか、一言で述べよ。
-
教会中心から個人信仰中心へ、社会的価値観を転換した
北方ルネサンスの思想家と著作(穴埋め20問)
- 北方ルネサンスを代表するオランダの人文主義者で、『愚神礼賛』を著した人物は誰か。
-
エラスムス
- エラスムスが『愚神礼賛』で痛烈に批判した対象を1つ挙げよ。
-
聖職者の腐敗や教会の形式主義
- エラスムスが出版したギリシア語新約聖書校訂版が宗教改革に与えた影響を一言で述べよ。
-
聖書重視の思想を広め、宗教改革の思想的基盤を提供した
- 『ユートピア』を著し、理想社会を描いたイギリスの思想家は誰か。
-
トマス=モア
- トマス=モアの『ユートピア』で描かれる理想社会の特徴を1つ答えよ。
-
私有財産を否定し、平等な社会を実現
- トマス=モアはどの国王による宗教政策に反対し処刑されたか。
-
ヘンリ8世
- トマス=モアが反対した、ヘンリ8世による宗教政策とは何か。
-
イギリス国教会(英国国教会)の成立
- 「ドイツ教育界の父」と呼ばれ、宗教改革を支援するとともに教育制度を改革した思想家は誰か。
-
メランヒトン
- メランヒトンはルターと協力して宗教改革を推進したが、特にどの分野で大きな役割を果たしたか。
-
教育制度の改革と神学体系の整備
- 北方ルネサンス期に活躍した「宗教画の巨匠」で、エラスムスやトマス=モアの肖像画を描いたことで知られる画家は誰か。
-
ハンス=ホルバイン(子)
- ホルバインの代表作で、フランス大使2人を描きつつ、下部に歪んだ髑髏を描き「死の象徴」を示した絵画は何か。
-
『大使たち』
- 『快楽の園』を描き、幻想的で寓意的な世界観を表現した北方ルネサンス期の画家は誰か。
-
ヒエロニムス=ボス
- 『農民の婚宴』『バベルの塔』など、農民の生活や寓意的テーマを描いたフランドル地方の画家は誰か。
-
ブリューゲル
- ブリューゲルの作品の特徴を一言で述べよ。
-
農民生活の写実描写と宗教的寓意の融合
- 北方ルネサンスでは思想や芸術だけでなく技術革新も重要だったが、思想普及を加速させた大発明は何か。
-
活版印刷術(グーテンベルク)
- 活版印刷術によって急速に普及したのは、特にどのような文献か。
-
聖書、古典文献、宗教改革関連文書
- 北方ルネサンス思想の特徴である「宗教的人文主義」は、信仰をどのように捉えたか。
-
教会の権威ではなく、個人の内面的信仰を重視した
- 「エラスムスが産んだ卵をルターがかえした」という言葉は、何を意味するか。
-
エラスムスら宗教的人文主義者の思想が宗教改革を導いたこと
- 北方ルネサンス思想家たちの共通点を一言で述べよ。
-
人間性と信仰の調和を重視し、教会改革を志向した
- 北方ルネサンスの思想を学習する際、イタリア・ルネサンスとの最も大きな違いを意識する視点は何か。
-
世俗的人文主義か宗教的人文主義かという思想の方向性の違い
北方ルネサンスの芸術家と代表作(穴埋め15問)
- 「北方のレオナルド」と呼ばれ、版画や細密な写実で知られるドイツの芸術家は誰か。
-
アルブレヒト=デューラー
- デューラーの代表的木版画シリーズで、ヨハネの黙示録を題材にした作品群を何というか。
-
『黙示録』シリーズ
- デューラーが描いた「芸術家の自意識」を象徴する革新的な肖像画は何か。
-
『自画像』(1500年)
- デューラーが描いた宗教改革期の代表作で、ルター派神学の精神を表現した大作は何か。
-
『四人の使徒』
- フランドル地方出身で、農民生活や寓意的テーマを描いた「民衆画」で知られる画家は誰か。
-
ピーテル=ブリューゲル
- ブリューゲルの代表作で、旧約聖書の物語を題材にしつつ同時代の社会も反映した大作は何か。
-
『バベルの塔』
- フランドル地方出身で、農民生活や寓意的テーマを描いた「民衆画」で知られる画家は誰か。
-
ピーテル=ブリューゲル
- ブリューゲルの代表作で、旧約聖書の物語を題材にしつつ同時代の社会も反映した大作は何か。
-
『バベルの塔』
- ブリューゲルの代表作で、農民の婚宴を描き日常生活を写実的に表現した作品は何か。
-
『農民の婚宴』
- ブリューゲルの作品に共通する特徴を一言で述べよ。
-
民衆の日常生活を写実的に描き、寓意を込めた点
- 油彩技法を発展させ、光沢と質感を極めたフランドル絵画の先駆者は誰か。
-
ヤン=ファン=エイク
- ファン=エイクの代表作で、結婚証明画として知られる、細密描写と象徴性が特徴的な絵画は何か。
-
『アルノルフィーニ夫妻像』
- 幻想的で寓意的な世界観を描き、『快楽の園』などの三連祭壇画で知られる画家は誰か。
-
ヒエロニムス=ボス
- ボスの『快楽の園』は、どのような主題を中心に描かれた作品か
-
人間の罪と堕落、救済を寓意的に表現した作品
- イギリスの宮廷画家としても活躍し、エラスムスやトマス=モアの肖像画を多く描いた画家は誰か。
-
ハンス=ホルバイン(子)
- ホルバインの代表作で、歪んだ髑髏を描き「死の象徴」を巧みに盛り込んだ作品は何か。
-
『大使たち』
- 北方ルネサンスの芸術の特徴を一言で述べよ。
-
宗教的寓意を込めた細密描写と、民衆生活の写実性を融合した点
北方ルネサンスの文学と社会批判(穴埋め10問)
- 『愚神礼賛』を著し、聖職者や教会の腐敗を風刺した北方ルネサンスの代表的思想家は誰か。
-
エラスム
- 『愚神礼賛』でエラスムスが批判した対象を具体的に1つ挙げよ。
-
聖職者の堕落、免罪符の販売、教会の形式主義など
- 『ユートピア』を著し、平等で調和のとれた理想社会を描いたイギリスの人文主義者は誰か。
-
トマス=モア
- 『ユートピア』で描かれた理想社会の特徴を1つ答えよ。
-
私有財産の否定と平等な共同体生活
- トマス=モアは、どの国王の政策に反対したため処刑されたか。
-
ヘンリ8世
- 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』を著し、人間性の肯定と自由な精神を謳歌したフランスの作家は誰か。
-
ラブレー
- ラブレーの文学の特徴を一言で述べよ
-
人間解放思想とルネサンス的享楽主義を表現した点
- 『エセー(随想録)』を著し、懐疑主義を展開したフランスの思想家は誰か。
-
モンテーニュ
- モンテーニュの懐疑主義を象徴する有名な言葉を答えよ。
-
「ク・セ・ジュ(私は何を知るか)」
- 北方ルネサンス文学全体に共通するテーマを一言で述べよ。
-
信仰・社会・人間性を問い直す批判精神と理想追求
北方ルネサンスと宗教改革のつながり(穴埋め10問)
- 北方ルネサンスの思想的特徴である宗教的人文主義は、宗教改革にどのような影響を与えたか。
-
聖書重視・内面的信仰を促し、宗教改革の思想的基盤を築いた
- 宗教改革に思想的基盤を与えた北方ルネサンスの思想家で、『愚神礼賛』を著したのは誰か。
-
エラスムス
- 「エラスムスが産んだ卵をルターがかえした」という言葉が意味することを一言で述べよ。
-
宗教的人文主義が宗教改革の出発点となったこと
- エラスムスが刊行したギリシア語新約聖書校訂版が宗教改革に与えた具体的影響は何か。
-
聖書原典への回帰を促し、宗教改革思想の理論的基盤を提供した
- 宗教改革の大きな推進力となった技術革新で、聖書や論文の普及を急速に進めた発明は何か。
-
グーテンベルクの活版印刷術
- 活版印刷術により宗教改革を加速させた理由を一言で述べよ。
-
聖書やルターの著作が大量印刷され、短期間で広範囲に普及したため
- 北方ルネサンスの思想家たちは当初、カトリック教会をどのように改革しようとしたか。
-
教会内部からの穏健な改革を目指した
- ルターは1517年に免罪符の販売を批判し、「95か条の論題」を発表したが、この思想的下地を与えた北方ルネサンスの潮流は何か。
-
宗教的人文主義
- 北方ルネサンスの思想が宗教改革に与えた影響を、思想・技術・社会の3つの観点で簡潔に述べよ。
-
宗教的人文主義による信仰内面化、活版印刷術による思想拡散、教会批判による改革機運の高まり
- 北方ルネサンスと宗教改革の違いを一言で述べよ。
-
北方ルネサンスは教会内部での改革を目指したが、宗教改革は教会からの離脱を招いた
第3章 正誤問題で確認(30〜40問)
ここまでルネサンスと北方ルネサンスを別々に学んできましたが、入試では両者の違いや共通点を問う問題が頻出です。
「どちらのルネサンスか」「思想・芸術・科学の特徴を区別できるか」が得点の分かれ目になります。
ここでは、ルネサンスと北方ルネサンスを中心に、思想・芸術・科学・社会背景を比較する正誤問題を解きながら、知識の整理を進めましょう。
ルネサンスと北方ルネサンスの比較正誤問題(15問)
- ルネサンスは、古代ギリシア・ローマ文化の再生を目指した文化運動である。
-
○(古典復興=ルネサンスの核心)
- 北方ルネサンスの思想家たちは、神の存在を否定し、完全に世俗的な人間中心主義を追求した。
-
×(信仰と人間性の調和を重視=宗教的人文主義)
- 『愚神礼賛』で教会や聖職者を批判したエラスムスは、北方ルネサンスを代表する思想家である。
-
〇
- トマス=モアの『ユートピア』は、イタリア・ルネサンスを代表する文学作品である。
-
×(トマス=モアはイギリスの北方ルネサンス思想家)
- イタリア・ルネサンスの芸術は、理想美と遠近法を駆使した人体描写を特徴とする。
-
○(例:レオナルド=ダ=ヴィンチ、ミケランジェロ)
- 北方ルネサンスの芸術家たちは、油彩技法を駆使して細密で写実的な描写を追求した。
-
○(例:ヤン=ファン=エイク、デューラー)
- 『アルノルフィーニ夫妻像』はレオナルド=ダ=ヴィンチの代表作である。
-
×(正しくはヤン=ファン=エイク)
- 北方ルネサンスでは、活版印刷術の普及が思想や宗教改革の進展を大きく後押しした。
-
○(グーテンベルクによる技術革新)
- 宗教改革の思想的基盤は、イタリア・ルネサンスの世俗的人文主義にあった。
-
×(宗教改革の基盤は北方ルネサンスの宗教的人文主義)
- 北方ルネサンスの思想家は教会改革を志向したが、エラスムスはカトリック教会を離れなかった。
-
○(穏健な改革を志向した)
- 『アテネの学堂』を描き「ルネサンスの画聖」と称されたのはラファエロである。
-
〇
- ピーテル=ブリューゲルは、農民生活を題材とした民衆画や寓意的表現で知られる北方ルネサンスの画家である。
-
〇
- 北方ルネサンスは主にフィレンツェやヴェネツィアなどの都市を中心に発展した。
-
×(正しくはフランドル地方、ドイツ、イングランドなど)
- ルネサンス期には科学革命の萌芽が見られ、コペルニクスが地動説を唱えた。
-
〇
- 北方ルネサンスの文学は、教会批判や社会風刺をテーマとした作品が多い。
-
○(例:エラスムス『愚神礼賛』、トマス=モア『ユートピア』)
芸術家・作品・思想家に関する正誤問題(15問)
- 『最後の晩餐』を描いたのはラファエロである。
-
×(正しくはレオナルド=ダ=ヴィンチ)
- 『モナ=リザ』を描いたのはレオナルド=ダ=ヴィンチである。
-
〇
- 『天地創造』や『最後の審判』など、システィナ礼拝堂の壁画を描いたのはミケランジェロである。
-
〇
- 『アテネの学堂』を描き「ルネサンスの画聖」と称されたのはラファエロである。
-
〇
- サン=ピエトロ大聖堂のクーポラ(円蓋)を設計したのはブルネレスキである。
-
×(正しくはミケランジェロ)
- 『アルノルフィーニ夫妻像』を描き、油彩技法を完成させた北方ルネサンスの画家はヤン=ファン=エイクである。
-
〇
- 『黙示録』シリーズを制作し、「北方のレオナルド」と称された版画家はデューラーである。
-
〇
- 『農民の婚宴』や『バベルの塔』を描き、民衆画の大家と呼ばれたのはピーテル=ブリューゲルである。
-
〇
- 『快楽の園』を描き、幻想的で寓意的な世界を表現したのはボッカチオである。
-
×(正しくはヒエロニムス=ボス)
- 『愚神礼賛』を著したのは北方ルネサンスの思想家エラスムスである。
-
〇
- 『ユートピア』を著し、理想社会を描いたのはトマス=モアである。
-
〇
- 『ドン=キホーテ』を著し、時代遅れの騎士道を風刺したのはセルバンテスである。
-
〇
- 『エセー(随想録)』を著し、「ク・セ・ジュ(私は何を知るか)」という懐疑主義を展開したのはモンテーニュである。
-
〇
- 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』を著したのはイギリスの劇作家シェイクスピアである。
-
×(正しくはフランスのラブレー)
- 『ハムレット』『マクベス』『リア王』『オセロ』はシェイクスピアの四大悲劇である。
-
〇
科学・文学に関する正誤問題(10問)
- 『天球回転論』で地動説を唱えたのはケプラーである。
-
×(正しくはコペルニクス)
- ガリレオ=ガリレイは望遠鏡を改良し、木星の衛星や太陽黒点を観測した。
-
〇
- ケプラーは、惑星が太陽の周囲を円軌道で公転するという法則を発見した。
-
×(正しくは楕円軌道で公転するとした)
- 『人体解剖図』を著し、近代医学の基礎を築いたのはヴェサリウスである。
-
〇
- 血液循環を発見したのはガリレオ=ガリレイである。
-
×(正しくはハーヴェイ)
- 『神曲』を著したのはルネサンス期のイタリア詩人ダンテである。
-
〇
- 『デカメロン』を著したのはスペインの作家ボッカチオである。
-
×(正しくはイタリアの作家ボッカチオ)
- 『ドン=キホーテ』はセルバンテスによるもので、時代遅れの騎士道を風刺した作品である。
-
〇
- 『エセー(随想録)』を著し、懐疑主義を展開したモンテーニュはドイツの思想家である。
-
×(正しくはフランスの思想家)
- 『愚神礼賛』を著したエラスムスは、カトリック教会を離脱しルター派に転じた。
-
×(正しくは生涯カトリックにとどまった)
第4章 論述問題で差をつける(15問)
ルネサンスと北方ルネサンスは、思想・芸術・科学など多くの分野に影響を与え、やがて宗教改革や科学革命へとつながっていきます。
大学入試では、この時代の変化を一つの流れとして説明できるかが問われることが多く、論述問題対策が得点差につながる分野です。
ここでは、ルネサンスと北方ルネサンスを比較したり、宗教改革や科学革命とのつながりを説明する頻出テーマの論述問題を用意しました。
制限字数を意識しながら、因果関係を明確にまとめる練習をしていきましょう。
頻出テーマ論述問題(例題5問)
- ルネサンスと北方ルネサンスの芸術表現の違いを、代表的作品や技法に触れながら120字以内で説明せよ。
-
イタリア・ルネサンスは遠近法や解剖学を駆使し、人体美や古典的理想美を追求し、『最後の晩餐』や『アテネの学堂』に代表される。一方、北方ルネサンスは油彩技法や版画を発展させ、宗教的寓意や民衆生活を細密に写実的に描いた点で異なる。
- 北方ルネサンスが宗教改革を準備した過程について、思想・技術の両面から150字以内で説明せよ。
-
北方ルネサンスでは、エラスムスらが宗教的人文主義を唱え、聖職者批判や聖書重視の思想を広めた。この思想はルターら宗教改革者に大きな影響を与えた。また、グーテンベルクの活版印刷術が普及したことで、聖書や思想書が急速に広まり、教会批判の機運が高まった。これらが宗教改革の準備となった。
- 活版印刷術がルネサンスと宗教改革の進展に与えた影響を120字以内で説明せよ。
-
グーテンベルクの活版印刷術は聖書や思想書の大量生産を可能にし、ルネサンス期の古典研究や人文主義思想をヨーロッパ全体に広めた。また、ルターの「95か条の論題」や宗教改革関連文書も短期間で広まり、教会批判や個人信仰の重視が拡大する大きな契機となった。
- ルネサンス期の科学的探究が近代科学革命につながった理由を150字以内で説明せよ。
-
ルネサンス期には観察と実験を重視する自然探究が進み、コペルニクスの地動説やヴェサリウスの解剖学、ガリレオの天体観測などが近代科学の基盤を築いた。従来の権威依存的なスコラ哲学から離れ、実証と理性に基づく探究姿勢が確立したことが、17世紀の科学革命を準備した。
- ルネサンス思想の特徴を、古代復興・人文主義・個性尊重の三点を含めて120字以内で説明せよ。
-
ルネサンス思想は古代ギリシア・ローマ文化を復興し、人間中心の価値観である人文主義を発展させた。さらに、個々の才能や感性を尊重し、多様な表現を肯定した点に特徴がある。この思想は芸術・科学・文学の発展を促し、近代的自我の形成につながった。
追加論述問題(10問)
- イタリア・ルネサンスと北方ルネサンスの思想的特徴の違いを120字以内で説明せよ。
-
イタリア・ルネサンスは古典文化の復興を重視し、理性や人間の能力を賛美する世俗的人文主義を発展させた。一方、北方ルネサンスは宗教的人文主義を特徴とし、内面的信仰や聖書回帰を重視した。この違いが宗教改革への接続にも影響した。
- 宗教的人文主義が宗教改革を後押しした理由を150字以内で説明せよ。
-
北方ルネサンスの宗教的人文主義は、聖書原典研究を重視し、信仰を形式より内面に求める思想を広めた。エラスムスの『愚神礼賛』や新約聖書校訂版は聖職者批判を促し、個人信仰を重視する意識を高めた。これにより、ルターらの宗教改革運動の理論的基盤が形成された。
- ルネサンス期の文学の特徴を、代表的作家や作品を挙げて120字以内で説明せよ。
-
ルネサンス文学は、人間性を肯定し、自由で多様な個性を描いた点に特徴がある。イタリアではダンテ『神曲』やボッカチオ『デカメロン』、スペインではセルバンテス『ドン=キホーテ』、イギリスではシェイクスピアが活躍し、人間の感情や社会への批判精神を豊かに表現した。
- レオナルド=ダ=ヴィンチを「万能人」と呼ぶ理由を120字以内で説明せよ。
-
レオナルド=ダ=ヴィンチは、『最後の晩餐』『モナ=リザ』などの絵画で芸術的才能を示す一方、解剖学・工学・天文学など幅広い分野に通じ、実証的探究を進めた。芸術と科学の両面で卓越した成果を残したことから、「万能人」と称されるようになった。
- ミケランジェロとラファエロの芸術表現の違いを120字以内で説明せよ。
-
ミケランジェロは『ダヴィデ像』や『最後の審判』に見られるように、筋肉美を強調した力強い人体表現を追求した。一方、ラファエロは『アテネの学堂』や『システィナの聖母』に代表される柔和で調和的な構図を重視した。理想美の表現手法において違いがある。
- ルネサンス期の科学的探究と中世スコラ哲学の違いを150字以内で説明せよ。
-
中世スコラ哲学は、神学を中心に権威や聖典に依拠する体系だった。一方、ルネサンス期の科学的探究は観察と実験を重視し、実証的姿勢で自然現象を解明しようとした。コペルニクスの地動説やガリレオの天体観測、ヴェサリウスの解剖学などは、その方法論の転換を象徴する。
- シェイクスピアの作品が「ルネサンス的」と評価される理由を120字以内で説明せよ。
-
シェイクスピアは『ハムレット』や『マクベス』などで人間の欲望・葛藤・弱さを深く描写し、個性豊かな人物像を創造した。多様な人間模様を肯定的に描くその作風は、人間性の尊重というルネサンス思想を反映し、「ルネサンス的」と高く評価されている。
- ルネサンス期の自然観が中世からどう変化したかを120字以内で説明せよ。
-
中世では自然を神の秩序の一部として捉えたが、ルネサンス期には自然そのものを観察・分析の対象とする姿勢が強まった。ガリレオやケプラーらは観察と数学的法則で自然を理解しようとし、神中心から自然中心への世界観の転換が進んだ。
- ルネサンスと宗教改革の関係を、活版印刷術の影響に触れながら150字以内で説明せよ。
-
ルネサンス期の活版印刷術は、聖書や思想書を大量印刷し、人文主義思想を広く普及させた。これにより、聖書を自ら読み理解する意識が高まり、教会権威への批判が強まった。ルターの「95か条の論題」など宗教改革の思想も印刷物を通じて急速に広がり、改革の実現を後押しした。
- ルネサンス人文主義が近代ヨーロッパ社会の形成に与えた影響を150字以内で説明せよ。
-
ルネサンス人文主義は、神中心から人間中心への価値観転換を促し、個性・理性・自由を尊重する思想を育んだ。古典復興を通じて論理的思考や批判精神が養われ、近代科学や政治思想の基盤を築いた。宗教改革・科学革命・市民社会の発展など、近代ヨーロッパ形成に大きく寄与した。
付録:ルネサンス・北方ルネサンス 思想家・芸術家・著作 早見表
ルネサンスと北方ルネサンスでは、思想家・芸術家・文学作品が非常に多く登場します。受験生が苦手としやすいポイントは、「人物名・代表作・特徴を正しく対応させること」です。
ここでは、ルネサンスと北方ルネサンスの主要な思想家・芸術家・著作を一覧表形式でまとめました。一問一答や正誤問題で学んだ知識を横断的に整理できるようになっているので、復習用のまとめとしても役立ちます。
この表を使って、
- 「誰がどの著作を書いたのか」
- 「どの作品がどちらのルネサンスなのか」
- 「思想・芸術・文学のつながり」
をしっかり整理しましょう。
① 思想家とその特徴・著作
区分 | 思想家 | 活動地域 | 主な著作・業績 | 特徴・キーワード |
---|
ルネサンス | ペトラルカ | イタリア | 『叙情詩集』 | 人文主義の父。古典ラテン文学の再発見 |
ルネサンス | ピコ=デラ=ミランドラ | イタリア | 『人間の尊厳について』 | 人間は自由意志で運命を切り開く存在 |
ルネサンス | マキャヴェリ | イタリア | 『君主論』 | 権謀術数、現実主義的政治観 |
ルネサンス | モンテーニュ | フランス | 『エセー(随想録)』 | 懐疑主義。「ク・セ・ジュ=私は何を知るか」 |
北方ルネサンス | エラスムス | オランダ | 『愚神礼賛』、新約聖書校訂版 | 宗教的人文主義。聖職者批判・聖書重視 |
北方ルネサンス | トマス=モア | イギリス | 『ユートピア』 | 平等社会の理想像。ヘンリ8世に反対 |
北方ルネサンス | メランヒトン | ドイツ | 教育制度改革 | 「ドイツ教育界の父」。宗教改革支援 |
北方ルネサンス | ラブレー | フランス | 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』 | 人間解放思想・享楽主義 |
北方ルネサンス | ブルーノ | イタリア | 宇宙無限論 | 宇宙観の刷新。異端として火刑 |
② 芸術家と代表作
区分 | 芸術家 | 活動地域 | 主な代表作 | 特徴・キーワード |
---|
ルネサンス | レオナルド=ダ=ヴィンチ | イタリア | 『最後の晩餐』、『モナ=リザ』 | 万能人。芸術と科学の融合 |
ルネサンス | ミケランジェロ | イタリア | 『ダヴィデ像』、『最後の審判』、『天地創造』 | 力強い人体表現。サン=ピエトロ大聖堂設計 |
ルネサンス | ラファエロ | イタリア | 『アテネの学堂』、『システィナの聖母』 | 「ルネサンスの画聖」。調和と理想美 |
北方ルネサンス | デューラー | ドイツ | 『黙示録』シリーズ、『四人の使徒』 | 「北方のレオナルド」。版画と写実性 |
北方ルネサンス | ヤン=ファン=エイク | フランドル | 『アルノルフィーニ夫妻像』 | 油彩技法の発展。細密描写 |
北方ルネサンス | ピーテル=ブリューゲル | フランドル | 『農民の婚宴』、『バベルの塔』 | 民衆生活の写実、寓意的表現 |
北方ルネサンス | ヒエロニムス=ボス | ネーデルラント | 『快楽の園』 | 幻想的・寓意的な宗教表現 |
北方ルネサンス | ホルバイン(子) | ドイツ → イギリス | 『大使たち』 | 歪んだ髑髏=死の象徴。肖像画で有名 |
③ 文学と代表作
区分 | 作家 | 活動地域 | 主な著作 | 特徴・キーワード |
---|
ルネサンス | ダンテ | イタリア | 『神曲』 | 中世からルネサンスへの橋渡し |
ルネサンス | ボッカチオ | イタリア | 『デカメロン』 | ペスト禍の人間模様。短編集 |
ルネサンス | シェイクスピア | イギリス | 『ハムレット』『マクベス』『リア王』『オセロ』 | 四大悲劇。人間性と感情の描写 |
北方ルネサンス | セルバンテス | スペイン | 『ドン=キホーテ』 | 騎士道精神を風刺。近代小説の原点 |
北方ルネサンス | ラブレー | フランス | 『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』 | 享楽主義、人間解放思想 |
北方ルネサンス | モンテーニュ | フランス | 『エセー(随想録)』 | 懐疑主義。「私は何を知るか」 |
まとめ:ルネサンスと北方ルネサンスを体系的に理解するために
ルネサンスと北方ルネサンスは、思想・芸術・科学・文学など、大学入試世界史でも頻出の分野です。
しかし、人名や作品名、思想の特徴が多く、混乱しやすい単元でもあります。
この記事では、
- ルネサンスの思想・芸術・科学・文学
- 北方ルネサンスの特徴と宗教的人文主義
- 宗教改革や科学革命へのつながり
- 150問以上の問題演習
を体系的にまとめました。
関連記事でさらに理解を深めよう
学習アドバイス
- 演習問題から入るのがおすすめ
→ 一問一答で「わかる/わからない」を仕分けて、弱点を見つける
- まとめ表で人物・著作・作品を横断的に確認
→ 人物名・著作・作品を正確に結びつけられるかを意識する
- 論述問題でアウトプット
→ 流れを意識して説明できると得点アップにつながります
最後に
ルネサンスと北方ルネサンスは、それぞれの違いだけでなく、宗教改革や科学革命へのつながりを意識すると理解が深まります。
この記事の問題演習とまとめ表を活用して、得点源にしましょう!
コメント