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教皇権の盛衰 ― カールの戴冠から宗教改革前夜までの精神的権威の軌跡
教皇権の盛衰は、ヨーロッパ中世史の中でも最も重要なテーマの一つであり、大学入試でも頻出の分野です。王権との主導権争いや、封建制度と並行して進んだ社会構造の変化を理解することは、中世ヨーロッパの「信仰と権力」の関係を読み解くうえで欠かせま... -
十字軍とその影響 ― 中世ヨーロッパの変容
宗教的情熱から始まった十字軍の影響は、中世ヨーロッパに思いもよらないほど深く、そして長く続くものとなりました。 聖地エルサレム奪回という信仰上の目的のもとに動員されたこの遠征は、実際には、宗教・政治・経済・文化のあらゆる領域に変化をもたら... -
フランス人の国民意識の形成 ― 百年戦争・宗教戦争・革命を貫くもう一つの流れ
フランス人の国民意識の形成は、封建社会の分権的秩序の中から、「自分たちはフランスという一つの共同体に属している」という自覚が芽生え、やがて国家や政治を動かす力となっていく過程を指します。この意識は、一朝一夕に生まれたものではなく、数世紀... -
封建制と教会 ― 中世ヨーロッパを支えた“もうひとつの秩序”
封建制と教会とは、中世ヨーロッパ社会を動かした二つの柱――土地の秩序と神の秩序を意味します。 封建制度が「土地と忠誠」に基づく政治的・社会的な仕組みだったのに対し、教会はその上に「神の秩序」を築き、すべての人々を信仰によって統合しました。 ... -
【各国別①】フランスの封建社会 ― 王権弱体から絶対王政への道
フランスの封建社会とは、王が最上位に立ちながらも実権をほとんど持たず、地方の諸侯が独自に支配を行った分権的な政治体制を指します。この制度は中世ヨーロッパ全体に広がった封建制の典型であり、王と諸侯・騎士・農民が土地を媒介にした主従関係によ... -
フランス革命の転換点をたどる ― 理想の誕生から制度の完成まで
フランス革命の転換点とは、1789年から1799年までの10年間で、政治・社会・思想の方向が大きく変わった瞬間を指します。革命は「自由」「平等」「国民主権」という理念のもとに始まりましたが、それは一直線に進んだわけではありません。理念が生まれ、行... -
8月10日事件とは? ― チュイルリー宮殿襲撃とフランス王政崩壊の決定的瞬間
8月10日事件(1792年)とは、フランス革命中にパリ民衆と義勇兵が国王ルイ16世の居住地であったチュイルリー宮殿を襲撃し、王政を事実上崩壊させた出来事です。この事件によって、立憲王政は完全に終焉し、共和政への道が開かれました。この事件の意義は、... -
ヴァルミーの戦いとは?|フランス革命を救った「国民軍」の勝利とその歴史的意義
ヴァルミーの戦いとは、1792年9月20日、フランス北東部シャンパーニュ地方で行われたフランス軍とプロイセン軍の戦いを指します。この戦いで、革命直後の混乱に揺れるフランス共和国軍は、国王ルイ16世の処刑を阻止しようと侵攻したプロイセン軍を撃退し、... -
ナポレオン法典の意義と影響|フランス革命の理念を制度化した近代法の礎
ナポレオン法典とは、1804年にフランスで制定された近代的な民法典であり、フランス革命の理念である「自由」「平等」「所有権の保障」を具体的な法律として体系化したものです。身分制を廃し、すべての市民を法の前に平等とした点で画期的であり、封建的... -
テルミドールのクーデタとは何か|ロベスピエール失脚とジャコバン独裁の終焉
テルミドールのクーデタ(テルミドール9日のクーデタ)とは、1794年7月27日(革命暦テルミドール9日)に、国民公会でロベスピエール派が逮捕・処刑され、ジャコバン独裁が崩壊した事件です。フランス革命の急進期を終わらせ、恐怖政治の幕を引いた重大な転...