大学入試世界史では、「封建社会」と「荘園制」は頻出テーマのひとつです。
特に中世ヨーロッパ史では、国王・領主・騎士・農民といった階層構造を理解することが、政治・経済・社会史をつなげて考えるカギになります。
しかし、多くの受験生がつまずきやすいのは、「封建社会(feudalism)」と「荘園制(manorialism)」の違いと関係性です。
用語を丸暗記するだけでは、論述問題や正誤問題で失点しがちです。
この記事では、
- 封建社会と荘園制の基本構造
- 両者の相違点とつながり
- 入試で狙われる典型問題と解法のポイント
を徹底解説します。さらに章末では、一問一答・正誤問題・論述問題を使ってアウトプットまでサポートします。
これで封建社会と荘園制は完全攻略できます!
【ときおぼえ世界史シーリーズ】では、大学受験世界史で頻出のポイントを押さえつつ、章末には関連する論述問題や一問一答も用意しているので、入試対策にも最適です。
また、大学入試では、用語の暗記だけでなくどのような切り口で試験に理解することが重要です。
次の【封建社会と荘園制 総合問題演習問題50本勝負】では、MARCHレベル、早慶レベルの問題をこなすことができますので、この記事をお読みになった後、チャレンジをしてみてください。
第1章 封建社会の成立と特徴
中世ヨーロッパでは、ローマ帝国の崩壊後、強力な中央集権国家は存在せず、各地で小さな支配領域が乱立しました
9世紀以降、ヴァイキング・マジャール人・サラセン人など外敵の侵入が続く中、人々は身を守るために領主を中心とする相互扶助的な関係を形成しました。
この過程で生まれたのが封建社会(feudalism)です。
封建社会は単なる「政治制度」ではなく、社会の秩序を支える仕組みであり、ヨーロッパ中世を理解する上で欠かせない概念です。
封建社会の仕組み
封建社会とは、領主と家臣が「双務的契約関係」によって結ばれた社会構造を指します。
その基本単位が封土(fief)の授与を中心とした主従関係です。
領主と家臣の関係
- 封土(fief)
領主が家臣に与える土地のこと。
家臣はその見返りとして軍事奉仕を行う。 - 双務的契約
領主は保護を、家臣は軍役を提供するという「義務と権利」のバランスが特徴。 - ランベールのオマージュ儀式
家臣が領主に忠誠を誓う儀式で、封建社会の象徴。
封建社会の階層構造
封建社会はピラミッド型の階層構造を持っていました。
階層 | 役割・権利 |
---|---|
国王 | 名目的支配者だが実権は限定的 |
大貴族(諸侯) | 広大な封土を保有し独立性が高い |
下級騎士 | 諸侯に仕え、軍事奉仕を行う |
農民 | 領主の土地で生活。保護を受ける代わりに労働を提供 |
封建社会の特徴
- 分権的政治体制:国王権力が弱く、地方領主が強大
- 相互扶助的社会:家臣は軍役を提供し、領主は保護する
- 戦士階級中心の秩序:騎士道精神が社会規範として広がる
入試で狙われるポイント
- 「封建社会」は政治的制度を指し、「荘園制」は経済的制度を指す
- 双務的契約(領主は保護、家臣は軍役)を明確に説明できること
- 中央集権との対比:特にフランス・ドイツ・イギリスで違いがある
- 9〜10世紀にかけて封建社会が成立した背景と、その仕組みの特徴を100字以内で説明せよ。
-
9〜10世紀、外敵の侵入により人々は地方領主に保護を求め、封土を介した双務的契約が成立した。領主は家臣に封土を与えて軍役を要求し、家臣は領主に忠誠を誓う。この仕組みにより地方分権的な封建社会が形成された。
第1章: 封建社会と荘園制を完全攻略 一問一答&正誤問題15問 問題演習
一問一答(10問)
問1
封建社会において、領主が家臣に与えた土地を何というか。
解答:封土(fief)
問2
家臣が領主に忠誠を誓う儀式を何というか。
解答:オマージュ(homage)
問3
封建社会の契約形態はどのような性質を持つか。
解答:双務的契約(領主は保護、家臣は軍役)
問4
9〜10世紀に封建社会を成立させた外敵の代表的存在を1つ挙げよ。
解答:ヴァイキング
問5
封建社会で戦士階級の規範となった思想を何というか。
解答:騎士道精神
問6
フランスで封建社会が最も典型的に発達した王朝はどこか。
解答:カペー朝
問7
封建社会における領主間の関係を表す言葉は何か。
解答:封臣関係
問8
封建社会の社会秩序を支えた「土地経済」に関連する制度を何というか。
解答:荘園制
問9
封建社会では国王権力は強大であったか、弱体であったか。
解答:弱体であった
問10
封建社会の特徴を一言で説明すると何か。
解答:地方分権的社会
正誤問題(5問)
問1
封建社会では、領主と家臣は一方的な主従関係で結ばれた。
解答:誤(双務的契約)
問2
封土とは、領主が家臣に与える土地のことである。
解答:正
問3
オマージュ儀式は家臣が領主に土地を返還するための儀式である。
解答:誤(忠誠を誓う儀式)
問4
封建社会の成立にはヴァイキングなど外敵の侵入が影響した。
解答:正
問5
封建社会は中央集権的な国家体制であった。
解答:誤(地方分権的体制)
第2章 荘園制の仕組みと経済構造
封建社会の政治的基盤を支えたのが、荘園制(manorialism)です。
荘園制は、中世ヨーロッパの農村経済と社会秩序を維持する仕組みであり、領主と農民の関係を理解することがカギとなります。
受験生がよく混同しやすいのが、封建社会=政治的制度、荘園制=経済的制度という違いです。
この章では、荘園制の構造・特徴・農民の生活、そして入試で狙われるポイントを詳しく解説します。
荘園制の基本構造
荘園制とは、領主が所有する農地(荘園)を中心に、農民が生産活動を行い、その一部を領主に納めることで成り立つ経済制度です。
荘園の構造
荘園は大きく直営地(領主直営地)と保有地(農民保有地)に分かれます。
- 直営地(demesne)
領主が直接経営し、収穫物はすべて領主の収入となる。 - 保有地(peasant land)
農民が耕作する土地で、収穫物の一部を地代として納める。
賦役と地代
荘園制では農民は領主に対して以下の義務を負いました。
- 賦役(corvée)
領主の直営地で無償労働を行うこと。 - 貢納(地代)
生産物や貨幣で地代を納める義務。 - 雑役・宿泊義務
橋の修繕や城の建設など、追加的な労働を課されることも。
荘園制の特徴と農民の地位
- 自給自足的経済
市場経済の発達が遅れていたため、荘園内で生活が完結。 - 領主裁判権の存在
領主は農民に対する裁判権を持ち、農民は事実上の支配下にあった。 - 農民の階層
- 自由農民(free peasants):土地を保有するが地代を納める義務あり
- 農奴(serfs):土地に縛られ、移動や結婚にも領主の許可が必要
入試で狙われるポイント
- 封建社会=政治的、荘園制=経済的という違いを正確に理解する
- 荘園の構造(直営地と保有地)を図式で説明できること
- 自由農民と農奴の違いを把握すること
- 荘園制の仕組みとその経済的特徴について、農民の地位にも触れながら100字以内で説明せよ。
-
荘園は領主直営地と農民保有地から成り、農民は賦役や地代で領主に従属した。農民には自由農民と農奴があり、農奴は土地に縛られて移動や結婚に制限を受けるなど、封建社会の経済的基盤を形成した。
第2章: 封建社会と荘園制を完全攻略 一問一答&正誤問題15問 問題演習
一問一答(10問)
問1
荘園制において、領主が直接経営する土地を何というか。
解答:直営地(demesne)
問2
農民が耕作する土地で、収穫の一部を領主に納める区画を何というか。
解答:保有地(peasant land)
問3
荘園制で農民が領主の直営地で無償労働する義務を何というか。
解答:賦役(corvée)
問4
収穫物や貨幣を領主に納める義務を何というか。
解答:貢納(地代)
問5
農民の中で土地を保有しつつも領主に地代を納めた層を何というか。
解答:自由農民(free peasants)
問6
土地に縛られ、移動や結婚に制限を受けた農民層を何というか。
解答:農奴(serfs)
問7
荘園制において領主が農民を裁く権利を何というか。
解答:領主裁判権
問8
荘園制は市場経済中心か、自給自足中心か。
解答:自給自足中心
問9
荘園制が封建社会における何を支える制度であったか。
解答:経済的基盤
問10
農民が橋や城の建設など追加的労働を課される義務を何というか。
解答:雑役
正誤問題(5問)
問1
荘園制は、領主が所有する土地を家臣に封土として与える制度である。
解答:誤(封土は封建社会、荘園は経済制度)
問2
荘園は領主直営地と農民保有地から構成される。
解答:正
問3
農奴は領主の許可なく自由に移動できた。
解答:誤(農奴は土地に縛られた)
問4
荘園制では農民は市場での取引を中心に生活を営んだ。
解答:誤(自給自足的経済)
問5
賦役とは、農民が領主直営地で行う無償労働のことである。
解答:正
第3章 封建社会と荘園制の関係と入試攻略法
ここまで、封建社会を「政治制度」、荘園制を「経済制度」としてそれぞれ見てきましたが、入試で得点を取るためには、両者の関係性を一体的に理解することが重要です。
封建社会と荘園制は別々の制度ではなく、中世ヨーロッパ社会を支える“二本柱”としてセットで機能していました。
さらに、国や地域によってその発展の仕方が異なる点も、難関大の論述・正誤問題でよく問われるので、ここでまとめて押さえましょう。
封建社会と荘園制の一体性
封建社会は、領主と家臣の双務的契約によって成り立つ政治的秩序でしたが、その基盤を支えたのが荘園制です。
封建社会の軍事力や統治力は、荘園制による経済的基盤があって初めて成り立ちました。
封建社会と荘園制の相互依存
- 領主は荘園からの収入で軍事力を維持
- 家臣は荘園を封土として与えられ、軍役を果たす
- 農民は荘園で生産を行い、領主に保護と支配を受ける
→ このように、「政治=封建社会」と「経済=荘園制」は車の両輪の関係にありました。
地域別の発展の違い
封建社会と荘園制は、ヨーロッパ全体で共通する仕組みでしたが、国ごとに発展の仕方が異なります。
フランス
- 封建社会と荘園制が最も典型的に発展
- 国王権は弱く、地方分権が顕著
- カペー朝時代、諸侯の力が非常に強かった
イギリス
- ノルマン・コンクエスト(1066年)以降、国王権が比較的強い
- ただし、マグナ=カルタ(1215年)以降、貴族の権力も制限される
- 封建社会の仕組みはあるが、中央集権化が早かった
ドイツ(神聖ローマ帝国)
- 荘園制は存在したが、封建社会は極端な分権体制
- 金印勅書(1356年)以降、諸侯が強い自治権を確立
- 皇帝権は弱体で、地域ごとの独立性が高かった
入試で狙われるポイント
- 「封建社会=政治」「荘園制=経済」という基本区別
- 地域別の特徴(フランス典型・イギリス中央集権・ドイツ分権)
- 「封建社会と荘園制の関係」を100字以内でまとめられるか
- 封建社会と荘園制の関係について、両者の仕組みと特徴を関連付けて100字以内で説明せよ。
-
封建社会は領主と家臣が双務的契約で結ばれる政治制度で、その基盤を支えたのが荘園制である。荘園の収入によって領主は軍事力を維持し、家臣は封土を与えられ軍役を果たす。両制度は相互依存的に中世社会を構成した。
第3章: 封建社会と荘園制を完全攻略 一問一答&正誤問題15問 問題演習
一問一答(10問)
問1
封建社会の軍事力を支えた経済的基盤となる制度は何か。
解答:荘園制
問2
封建社会における封土の多くは何として経営されたか。
解答:荘園
問3
フランスで封建社会が最も典型的に発達した王朝はどこか。
解答:カペー朝
問4
イギリスで国王権が比較的強いまま封建社会が展開した契機となった出来事は何か。
解答:ノルマン・コンクエスト(1066年)
問5
1215年、イギリス国王ジョンが貴族に権利を認めた文書は何か。
解答:マグナ=カルタ
問6
神聖ローマ帝国で諸侯の独立性を強めた1356年の勅令を何というか。
解答:金印勅書
問7
封建社会と荘園制が最も典型的に発達した国はどこか。
解答:フランス
問8
封建社会における領主の収入源の中心は何か。
解答:荘園からの収入(地代・賦役)
問9
封建社会と荘園制は政治・経済のどちらに対応するか。
解答:封建社会=政治、荘園制=経済
問10
封建社会と荘園制を「車の両輪」と呼ぶ理由は何か。
解答:政治と経済が相互依存関係にあるから
正誤問題(5問)
問1
封建社会と荘園制は、それぞれ独立した制度であり相互に関係はなかった。
解答:誤(封建社会は政治制度、荘園制は経済制度で、相互依存関係にある)
問2
封建社会における家臣への封土は、多くの場合荘園として与えられた。
解答:正
問3
フランスでは封建社会と荘園制が最も典型的に発展した。
解答:正
問4
神聖ローマ帝国では、金印勅書によって国王権が強化され、中央集権化が進んだ。
解答:誤(諸侯の自治権が強化され、分権体制が固定化された)
問5
イギリスでは封建社会よりも中央集権化の傾向が早く進んだ。
解答:正
第4章 封建社会と荘園制の衰退と近代への移行
13世紀後半から14世紀にかけて、ヨーロッパ社会は大きな転換期を迎えます。
ペストの大流行・貨幣経済の浸透・都市の発展といった要因により、封建社会と荘園制は徐々にその機能を失っていきました。
この章では、封建社会と荘園制がどのように衰退し、近代国家形成へとつながったのかを解説します。
入試では、この「衰退の要因」と「近代とのつながり」が頻出ポイントです。
封建社会と荘園制衰退の要因
ペストの大流行
- 14世紀半ば(1347〜1352年)にヨーロッパを襲った黒死病(ペスト)で人口が激減。
- 労働力不足により、農民の立場が強化され、領主は賦役から地代中心の経営に転換。
貨幣経済と都市の発展
- 十字軍遠征以降、東方貿易や商業活動が活発化。
- 都市の発展により、農民や農奴は貨幣経済に組み込まれ、賦役制から地代制へ移行。
- 農奴は自由を買い取るケースも増えた。
領主権力の相対的低下
- 領主が保有する土地収入だけでは権力を維持できなくなり、貨幣収入や軍事力を求めて国王に依存。
- 中央集権化が進むと、封建的な地方分権体制は次第に崩壊した。
近代国家形成とのつながり
封建社会と荘園制の衰退は、近代国家形成への道を開きました。
- フランスでは百年戦争(1339〜1453年)を契機に国王権が強化。
- イギリスではばら戦争後、テューダー朝が中央集権国家を形成。
- 神聖ローマ帝国では逆に地方分権が強まるが、結果的に近代国家への動きに遅れを取る。
入試で狙われるポイント
- ペスト流行と農奴解放の関係を正しく説明できること
- 「賦役から地代制へ」という変化を把握すること
- 封建社会の衰退が中央集権化と近代国家形成につながった点を押さえること
- 封建社会と荘園制の衰退の要因について、社会・経済的変化に触れながら100字以内で説明せよ。
-
14世紀のペスト流行で人口が激減し、農民の立場が向上した。貨幣経済の発展により賦役制から地代制へ移行し、農奴の自由化も進んだ。領主権力は弱まり、国王権が強化され、近代国家形成につながった。
第4章: 封建社会と荘園制を完全攻略 一問一答&正誤問題15問 問題演習
一問一答(10問)
問1
14世紀半ばにヨーロッパで人口を激減させた伝染病は何か。
解答:ペスト(黒死病)
問2
ペストの大流行で不足した労働力の結果、農民の立場はどう変化したか。
解答:立場が強化され、条件改善が進んだ
問3
荘園制における農民労働形態は、賦役から何へ移行したか。
解答:地代制
問4
都市の発展により、農奴が自由を得る際に用いた手段は何か。
解答:自由買得(身分解放のための買い取り)
問5
封建社会の衰退を促進した東方貿易の拠点として栄えたイタリアの都市を1つ挙げよ。
解答:ヴェネツィア(またはジェノヴァ)
問6
百年戦争を経て中央集権化を進めたフランスの王朝はどこか。
解答:ヴァロワ朝
問7
イギリスでばら戦争後に中央集権化を進めた王朝はどこか。
解答:テューダー朝
問8
神聖ローマ帝国で地方分権体制を固定化した1356年の勅令は何か。
解答:金印勅書
問9
封建社会の衰退によって強化された権力は誰のものか。
解答:国王権
問10
封建社会の崩壊と荘園制の変質により進んだ国家体制は何か。
解答:中央集権国家
正誤問題(5問)
問1
ペストの流行によって農民の地位は低下した。
解答:誤(農民の地位は上昇した)
問2
貨幣経済の浸透により、賦役から地代制への移行が進んだ。
解答:正
問3
百年戦争後、フランスでは封建制がさらに強化された。
解答:誤(国王権が強化された)
問4
テューダー朝はばら戦争後に成立し、中央集権を進めた。
解答:正
問5
封建社会と荘園制の衰退は、近代国家形成と無関係であった。
解答:誤(密接に関連している)
まとめ|封建社会と荘園制を完全攻略するために
封建社会と荘園制は、中世ヨーロッパ史を学ぶ上で欠かせないキーワードです。
しかし、入試では両者の仕組みを個別に覚えるだけでは不十分で、両者の関係性や時代背景まで含めて理解することが得点力を高めるカギになります。
ここまでの内容を整理すると、以下の3つのポイントが重要です。
封建社会=政治、荘園制=経済
- 封建社会(feudalism)
→ 領主と家臣の双務的契約に基づく政治的秩序 - 荘園制(manorialism)
→ 荘園を基盤とする領主と農民の関係による経済的秩序
この区別を正しく理解していないと、正誤問題や論述で失点しやすいです。
両者は「車の両輪」の関係
- 封建社会の軍事力・統治力は、荘園制から得られる経済力に依存
- 荘園は領主の封土として管理され、家臣や農民の生産力で社会が支えられた
- 政治と経済が相互依存していたことを押さえることが重要です
衰退の要因と近代国家形成へのつながり
- ペストの大流行 → 人口減少 → 農民の地位上昇
- 貨幣経済の発展 → 賦役制から地代制へ移行
- 都市と商業の発達 → 農奴解放、封建体制の崩壊
- 結果として、国王権が強化され、近代国家形成へとつながる流れを理解しておきましょう。
フランス・イギリス・ドイツの封建社会の特徴
比較表:封建社会の発展と特徴
地域 | 封建社会の発展度 | 国王権の強さ | 荘園制との関係 | 代表的出来事・制度 | 入試頻出ポイント |
---|---|---|---|---|---|
フランス | ★★★★★ 封建社会が最も典型的に発展 | 弱い(地方分権型) | 荘園制と強く結びつく | カペー朝時代:諸侯が強大 / 百年戦争後ヴァロワ朝で国王権回復 | 封建制の典型例。荘園制とセットで理解 |
イギリス | ★★★ 中央集権化が早い | 比較的強い | 荘園制は存在するが発展度は低い | ノルマン・コンクエスト(1066)/マグナ=カルタ(1215) | 中央集権化の進み方をフランスと比較 |
ドイツ(神聖ローマ帝国) | ★★ 強固な封建分権体制 | 非常に弱い | 荘園制は存在するが領邦ごとの独立色が強い | 金印勅書(1356):諸侯の独立強化 | 分権体制が固定化した点を押さえる |
1. フランスの封建社会(典型例)
特徴
- 封建社会が最も典型的に発展した国。
- カペー朝時代(987〜1328年)、国王の直轄領はごく狭小で、諸侯が極めて強大な力を持っていた。
- 荘園制と深く結びつき、農村経済を基盤に封建秩序が確立。
- 百年戦争(1339〜1453年)を経て、ヴァロワ朝期以降は国王権が回復・中央集権化が進展。
入試で狙われるポイント
- 「封建社会=フランス典型」のイメージを確実に押さえる。
- 百年戦争が封建制から中央集権への転換点になること。
2. イギリスの封建社会(中央集権化が早い)
特徴
- 1066年のノルマン・コンクエストにより、ノルマン朝ウィリアム1世が中央集権的な封建制度を導入。
- 国王→諸侯→騎士→農民という封建的階層はあるが、国王権は比較的強力。
- 荘園制は存在するものの、フランスほど経済的基盤とはならなかった。
- マグナ=カルタ(1215年)により貴族の権利が強まり、王権とバランスを取る体制に移行。
入試で狙われるポイント
- フランスとの比較問題が頻出。
- 「ノルマン・コンクエスト」「マグナ=カルタ」など具体的出来事を絡めて問われることが多い。
3. ドイツ(神聖ローマ帝国)の封建社会(極端な分権体制)
特徴
- 神聖ローマ帝国では、地方諸侯が強大な権力を持ち、国王権は極めて弱体。
- 皇帝選出は選挙制で、1356年の金印勅書によって選帝侯7人の地位が制度化され、分権体制が固定化。
- 荘園制は存在したが、領邦国家ごとに制度や経済構造が異なり、統一性は乏しい。
- 中央集権化は進まず、近代国家形成に大きく遅れを取る。
入試で狙われるポイント
- 「金印勅書=諸侯の権利強化」という点を正確に説明できること。
- フランス・イギリスとの比較問題で狙われやすい。
学習ポイントまとめ
ポイント | 押さえるべき内容 |
---|---|
典型例=フランス | 荘園制と強く結びつく封建制。国王権は弱体。 |
中央集権型=イギリス | ノルマン・コンクエストで強力な王権、マグナ=カルタで貴族とバランス。 |
分権型=ドイツ | 金印勅書で諸侯の独立強化、中央集権化せず。 |
比較問題対策 | 「国王権の強弱」「荘園制の発展度」「中央集権化の進み方」がカギ。 |
入試での狙われ方
- 正誤問題
「フランスでは封建社会が典型的に発達した」「金印勅書は皇帝権強化を目的とした」など。 - 論述問題
「フランス・イギリス・ドイツにおける封建社会の特徴を比較せよ」。 - 一問一答
ノルマン・コンクエスト、マグナ=カルタ、金印勅書は頻出。
学習ポイント総まとめ(★=入試頻出)
項目 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
封建社会★ | 領主と家臣の双務的契約に基づく政治秩序 | 「保護⇔軍役」の関係を説明できる |
荘園制★ | 領主と農民の経済関係を基盤とする農村制度 | 直営地・保有地・賦役・地代を理解する |
両者の関係★ | 政治と経済の「車の両輪」 | セットで説明できることが重要 |
地域差 | フランス典型・イギリス中央集権・ドイツ分権 | 難関大でよく狙われる |
衰退要因★ | ペスト、貨幣経済、都市発展、中央集権化 | 近代国家形成につながる流れを説明できる |

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