中学英語をもう一度学び直す大人が増えています。
自分の世界を広げたいという前向きな理由だったり、会社での昇進に影響があるから仕方なくという消極的な理由だったり人によってその動機は様々でしょう。

おススメの参考書を紹介しても、少し前までは、「大人になってから中学英語をやり直すなんて今さら!」と中学英語を後ろ向きに考える学習者が多かったわよね。



そうだね。今や大手書店に行けば<中学英語>をテーマとした書籍がたくさん見つかるね。
なぜ、中学英語が重要なのでしょうか?
その理由はシンプル。
中学英語こそが、すべての英語の“基礎”だからです。
英語の文法、語順、時制などはすべて中学英語で登場します。ここを固めずに上級英語へ進んでも、結局はどこかでつまずいてしまいます。
英語の習得には、難解な文法や高級な単語が必要なわけではありません。実は、英会話・英作文の9割以上は中学英語の範囲でカバーできます。
ですから、社会人が「まずは中学英語から」と考えるのは非常に理にかなっています。
英字新聞や難解な英文解釈の参考書をありがたがって勉強するより、中学英語を完璧に使いこなすほうが、日常英会話を習得する近道という考え方が主流になっています。
その一方で、学生時代に英語をしっかり勉強してきたら、中学英語の復習は不要と考えている学習者も多いでしょう。
仕事で英文メールを書きたい、海外旅行でもっと自由に会話を楽しみたい。そう考えて高校時代や受験生時代に使った参考書を引っ張りだしてきて、一念発起しても、なかなか思うように進まず、挫折してしまう人も少なくありません。
その理由のひとつが、「中学英語の基礎が身についていない」ことにあります。
多くの社会人は高校や大学受験の際に、ある程度英語を学んできています。しかし、それは「受験のための英語」であり、「実際に使う英語」とは少し性質が異なります。受験では難しい長文読解や文法問題に時間をかけますが、日常英会話や英作文では、もっとシンプルで実用的な文法・表現が必要です。実際、ネイティブが日常的に使う表現の多くは中学レベルの英語です。
たとえば、「私は犬が好きです」「昨日、友達と映画を見ました」「この店は何時に開きますか?」など、どれも中学で習う単語と文法だけで表現できます。つまり、英語を使いこなすためには、難しい知識よりも、基本を「正確に」「自然に」使えることが大切なのです。
また、社会人には「時間が限られている」という現実的な制約もあります。その中で効率よく成果を上げるには、まずは中学英語に立ち返るのが最も効果的です。基礎をしっかり固めることで、英会話やTOEIC、ビジネス英語といった応用的な学習にもスムーズにつなげられます。
中学英語は「簡単そうに見えて、意外と使いこなせない」落とし穴でもあります。だからこそ、社会人が本気で英語力を身につけたいなら、まずは中学英語を「使える形」で学び直すことが、何よりも大切なのです。
この記事では、「なぜ中学英語がそれほど大事なのか?」という視点から、その重要性をわかりやすく解説していきます。
英語が話せないのは「中学英語」が抜けているから
大学受験で難解な英文を読み、長文読解や英作文に苦労した人でも、実は「中学英語」がきちんと使えていないケースが多くあります。
たとえば、シンプルな現在形や過去形、基本的な語順、疑問文の作り方など、初歩の内容を「理解」はしていても「使える」状態にはなっていないのです。
英会話やライティングで文を瞬時に組み立てるには、複雑な文法よりも、まずこの中学レベルの文型を自在に操れることが重要です。
英語は積み木のような言語。難しい構文をいくら知っていても、土台である中学英語がグラグラでは応用も効きません。大学受験の知識を活かすためにも、いま一度「中学英語を使いこなす力」を磨き直すことが、真の英語力への第一歩です。
実は中学英語だけで日常会話はできる
「英語が話せるようになりたいけど、難しい単語や文法を覚えるのは大変…」
そんなふうに感じている方は少なくありません。しかし実は、中学レベルの英語だけでも、十分に日常会話は可能です。



英語ネイティブの日常会話はとてもシンプルってよく聞くわ。
英語圏の人たちの普段の会話をよく聞いてみると、実はそれほど難しい言葉は使っていません。
たとえばこんな会話も、全部中学英語で表現できます。
A: How was your weekend?
B: It was great! I went to the beach with my family.
A: Sounds fun. Was the weather good?
B: Yes, it was sunny and warm.
使われている単語や文法は、「be動詞」「過去形」「簡単な名詞・形容詞」など、中学校で習う範囲ばかり。これだけで、しっかりした会話のキャッチボールが成立しています。
中学英語とは何か?
中学英語とは、おおむね以下のような内容を指します。
- be動詞(am, is, are)と一般動詞(like, play, goなど)
- 現在・過去・未来の基本時制
- 疑問文・否定文
- 助動詞(can, will, must など)
- 前置詞(in, on, at など)
- 接続詞(and, but, because など)
- 基本的な英単語(約1200語)
この範囲を使いこなすことができれば、「自己紹介」「買い物」「道案内」「レストラン注文」など、ほとんどのシーンに対応できます。



英会話で大切なのは「難しい単語」より「簡単な英語を使いこなすこと」だよ。
「fluctuation」「procrastinate」など難しい単語を覚えることよりも、簡単な単語をスムーズに使えるかどうかの方が、英会話では圧倒的に重要です。
たとえば、「疲れた」という気持ちを表すのに、
- ✕ I’m exhausted.(上級)
- ○ I’m tired.(中学英語)
どちらでも意味は伝わりますが、英語に慣れていない人は、まず「I’m tired.」で十分です。通じる表現をすばやく出せることが大切です。



そういっても、瞬間英作文のような中学レベルの英語を今さら取り組む気にはならないのよね。。。



大学受験で英語が得意だった人が、「あなたは中学英語に抜けがある」とアドバイスされても受け入れられないようだよね。はるかちゃんもそんなタイプかな。
じゃあ、次の以下の日本文の英訳が瞬時にできるかな?もちろん、使う単語はすべて中学英語レベルだよ。



テストみたいで緊張するけど、頑張ってみるわ。
(1)彼女の髪は短いです。
She has short hair.
(2)明日は買い物をするつもりです。
I am going to go shopping tomorrow.
(3)ツアーは何時からですか?
What time does the tour start?
(4)彼は彼女が出てくるまでずっと待っていた。
He was waiting until she came out.
(5)ジョージはメアリーの宿題を手伝わなければならない。
George must help Mary with her homework.
(6)これは本物のダイヤモンドですか?
Is this a real diamond?
(7)今日は何月何日ですか?
What’s the date today?
(8)あなたは年齢よりかなり若く見えます。
You look much younger than you are.
(9)車が私の後ろを通った。
A car passed behind me.
(10)授業は10分後から始まります。
Class will start in ten minutes.



簡単な英文で書けることは分かったけど、瞬時に英文が思いついたのは、4つくらいだったわ(汗)



どの英文も英文から日本語訳は簡単だけど、その逆は意外と手こずるでしょ。中学レベルの英語を使いこなせていないという自覚がない大学生も多いよ。



耳が痛いわ。
難しい英単語よりも、簡単な英文を使いこなすことが大事
英会話や英作文をしていると、「カッコいい英単語を使いたい」「難しい語彙を使った方が高評価になる」と考えてしまいがちです。
確かに、ネイティブスピーカーが使うような難解で高度な語彙(いわゆる“Big word”)には憧れを感じるかもしれません。
しかし、英検やTOEFL、学校のテスト、または実際のコミュニケーションにおいて大切なのは、「難しい英単語を知っていること」よりも、「簡単でわかりやすい英語で、正しく自分の考えを伝えること」です。



中学レベルの英語だけで、自分の言いたいことをすべて言える気がしないのだけど・・・



そうかな?
じゃあ、「彼は大学で経済学を履修しました。」
これを英訳してみて。
皆さんも訳例を読む前に少し考えてみてください。
↓
↓
↓
↓
↓



こうかな?
He majored in economics at university.



大学受験を経験した人はだいたい<major in>で書いてくるね。major inには「専攻する」という意味があるからね。



たしかに。履修と専攻だと意味がちょっと違うかも。でも、履修するなんて単語は習わなかったわ。
英訳例を教えて。
He took economics at university.
(彼は大学での経済学を履修しました。)



take !?



うん。takeに「選ぶ」という意味があることを知っていれば、不思議ではないよね。
このように基本単語は、パワフルに使うことができます。
I get drunk easily.
(私は酔いやすいです。)



この例文は、「疲れやすい」という場合に“get tired easily”と使いまわしが利くわね。
My Room doesn’t get much sunshine.
(私の部屋は日当たりが悪いです。)



“get”一つでいろいろな言い回しができるとよく聞くわね。



じゃあ、「サイズは合っていますか?」を英語で言ってみて。



Is the size fitting?



そう言いたいなら、“Is the size OK?”がいいかな。
あと、“Does it fit?”という言い方もあるよ。



えっ、sizeという単語を使わなくてもいいのね。
中学レベルの英語の重要性を説いた著名な著者
今では中学レベルの英語の重要性を説く著者や指導者が多くいます。
その中でも大きな影響力を持つ著名な著者を紹介します。
同時通訳の神様 國弘正雄氏
同時通訳の神様と國弘正雄氏が、その著書で中学英語の重要性と応用範囲の広さを説いてから、中学英語をやり直すことが、英語を話す近道と考える人が多くなりました。



國弘先生が提唱した「只管朗読(しかんろうどく)」は、意味を理解した英文をひたすら音読する学習法で、英語を「知識として知る」だけでなく「使える力」として体得することを目指しています。
國弘氏は、中学英語の教科書を音読教材として推奨し、実際に1文を1000回以上音読した経験を持ちます。彼は「英語学習に近道はない」とし、基礎的な文法や語彙を繰り返し音読することで、英語の構造やリズムを身体に染み込ませることが重要だと説いています。
この「國弘メソッド」は、現在でも多くの英語学習者に支持されていて、音読を通じて英語の瞬発力やリスニング力を高める効果があるとされています。



英語を話すための基礎力を養いたい初心者や、英語をやり直したい社会人にとって、中学英語の徹底的な音読は非常に有効な学習法と言われているわよね。
瞬間英作文シリーズの著者 森沢洋介氏
森沢洋介氏の著書『瞬間英作文』シリーズは、中学英語レベルの基本文法と語彙を使って「英語を瞬時に話す力」を鍛えるトレーニング教材です。
このシリーズの最大の魅力は、文法を“知っている”から“使える”へと変える点にあります。英語をスムーズに話すためには、文法知識を自動的に口から出せるレベルにまで高める必要がありますが、瞬間英作文はまさにその回路を作る訓練です。
特に、シンプルな日本語文を見て即座に英語に変換する反復練習は、脳に英語の語順と表現パターンを定着させるのに非常に効果的です。「中学英語だけで英会話はできる」という信念のもと構成されており、難しい単語や構文は一切使われていないため、初心者ややり直し英語の社会人にも最適です。
また、CDや音声ダウンロードでの音読練習にも対応しており、「読む・聞く・話す」の統合トレーニングが可能。短期間で「英語を話す瞬発力」を高めたい人に、もっともおすすめできる教材の一つです。


中学英語のやり直しを成功させる3つのポイント
ひと口に中学英語をやり直すと言っても、現在のレベルや目的によって学習内容は大きく異なります。
「中学英語をやり直そう」と思い立ったとき、すぐに文法書や単語帳に手を伸ばす人は多いですが、実は最初にやるべきなのは「自分の今のレベルを知ること」です。
中学英語も意外と学習範囲は広く、be動詞や一般動詞といった超初級から、現在完了・関係代名詞など応用的な文法まで含まれます。
たとえば、英語に長らく触れてこなかった人と、ある程度リスニングや英会話の経験がある人とでは、やるべき内容もペースもまったく異なります。
自分の弱点や忘れている部分を見極めずに、漠然と勉強を始めても効率が悪く、モチベーションが下がりやすくなります。まずは簡単なテストやチェックリストを活用して、何を覚えていて、何を忘れているかを整理しましょう。
それに応じた教材や学習法を選ぶことが、効果的な「中学英語のやり直し」への第一歩です。
現在の学習者レベルをレベル1からレベル4に分けて、STEP1からSTEP5まで学習方法を詳しく説明します。
ポイント1 まずは現在の自分のレベルを正しく知る
まずは、中学レベルの英語がどの程度身についているか、自分のレベルを正しく知りましょう。



この記事では、レベルを4段階に分けて説明します。
レベル1 中学英語がゼロ(初学者/完全に忘れてしまった)
レベル2 初級(文法の基本を理解しはじめた段階)
レベル3 中級(中3まで一通りの知識があるが、抜けも多い)
レベル4 中上級(中学英語の知識は十分ある)



私はどのレベルかしら?



レベルごとの学習者の特徴をまとめたよ。
- レベル1 中学英語がゼロ(初学者/完全に忘れてしまった)
-
- STEP1を参照
-
STEP1からやり直し
- 学習者の特徴
-
- アルファベットや基本の単語(I, you, name, bookなど)もあやしい
- be動詞と一般動詞の違いがわからない
- 「This is a pen.」レベルの英文もすぐには作れない
- 英語に対して強い苦手意識がある
英語ツウこのSTEPから始める場合は、薄手の参考書を一気に仕上げるのが、コツだよ。読む・書く・聴くをバランスよく学習しよう
- レベル2 初級(文法の基本を理解しはじめた段階)
-
- STEP2を参照
-
以下のSTEP表のSTEP2から取り組むか、場合によっては、STEP1からやり直しも検討が必要。
- 対象者のイメージ
-
- 中1〜中2レベルの基本文法を一通り学んでいる
- 現在形・過去形・未来形の使い分けがある程度できる
- 疑問詞(when, where, whyなど)を使った文も読める・作れる
- 単語も600〜800語程度は覚えているが、文をスムーズには作れない
はるか仕事で急に英語が必要になってしまった社会人なんかにこのタイプが多い気がするわ。
- レベル3 中級(中3まで一通りの知識があるが、抜けも多い)
-
- STEP2・STEP3を参照
-
STEP2で“抜け”をなくしてから、STEP2で文法理解を深めよう!
- 対象者のイメージ
-
- 中学3年までの文法を一通り学び終えている(助動詞、比較、受動態など)
- 英文を見て自然に意味がわかることが増えた
- 自分で英作文をしようとすると間違いはあるが、文の構造は理解している
- 英検3級程度の問題にある程度対応できる
英語ツウ高校英語で躓(つまづ)いてしまう場合は、中学英語が分かっているようで、実はところどころ抜けているというケースが殆どだ。
- レベル4 中上級(中学英語の知識は十分ある)
-
- STEP4・STEP5を参照
-
STEP4とSTEP5を通じて徹底的なアウトプットトレーニングを!瞬発力を重視。
- 対象者のイメージ
-
- 学生時代から英語は得意だったが、話す・書くは苦手
- 英検3級以上の取得している
- 難しい構文や長文読解も苦にしないが、中学英語の有用性に気づいて、やり直したいと思っている
はるか私もこのタイプかな。知識はあっても、瞬間的に英語を口に出すという訓練が圧倒的に不足しているわ。



自分がどのレベルか分からないという学習者のために、全20問にチェックテストを作成したよ。
第1問
I ___ a student.
A. am / B. is / C. are / D. be
→A. amが正解
第2問
She ___ tennis every Sunday.
A. play / B. playing / C. plays / D. to play
→ C. playsが正解
第3問
___ he like apples?
A. Are / B. Do / C. Does / D. Is
→C. Doesが正解
第4問
We ___ English now.
A. study / B. studied / C. are studying / D. was studying
→C. are studyingが正解
第5問
I ___ to the park yesterday.
A. go / B. went / C. gone / D. going
→B. wentが正解
第6問
This is ___ book.
A. mine / B. me / C. my / D. I
→C. myが正解
第7問
“Library” means:
A. 病院 / B. 学校 / C. 図書館 / D. 工場
→C. 図書館が正解
第8問
“Always” means:
A. 決して / B. たまに / C. いつも / D. いま
→C. いつもが正解
第9問
“How many”はどんな時に使う?
A. 数をたずねる時 / B. 理由を聞く時 / C. 方法を聞く時 / D. 時間を聞く時
→A. 数をたずねる時が正解
第10問
“Zoo” means:
A. 動物園/ B. 博物館 / C. 図書館 / D. 公園
A. 動物園が正解
第11問
I don’t know ___ he is.
A. what / B. who / C. which / D. how
B. who が正解
第12問
A: “How are you?”
B: “___.”
A. I’m five / B. I’m fine, thank you / C. I’m hungry / D. I’m studying
→ B. I’m fine, thank you が正解
第13問
If it rains tomorrow, we ___ stay home.
A. will / B. can / C. must / D. should
→A. willが正解
第14問
He is taller ___ I am.
A. as / B. then / C. than / D. because
C. thanが正解
第15問
He asked me ___ I liked soccer.
A. if / B. that / C. which / D. how
A. ifが正解
第16問
My father is good ___ cooking.
A. in / B. on / C. at / D. with
C. atが正解
第17問
This box is ___ heavy for me to carry.
A. so / B. very / C. too / D. enough
C. tooが正解
第19問
This cake ___ delicious!
A. shows / B. watches / C. sees / D. looks
D. looksが正解
第20問
How ___ is it from here to the station?
A. tall / B. long / C. far / D. fast
C. farが正解
政党数 | レベル | 診断コメント |
---|---|---|
19~20問 | ★★★★☆ (レベル4) | 中学英語はほぼ完璧!知識だけでなく、実際に使える力も備わっている可能性が高いです。英会話や英文ライティングにもすぐ応用できるレベルです。あとはスピーキングやリスニングなど実践練習を取り入れていきましょう。 |
13~18問 | ★★★☆☆ (レベル3) | 中学英語の基本はある程度理解できていますが、ところどころ記憶が曖昧になっているようです。特に文法や熟語の使い方を意識して見直し、文の組み立て練習を取り入れるとよいでしょう。 |
8~12問 | ★★☆☆☆ (レベル2) | 中学英語の重要な部分が抜け落ちている可能性があります。be動詞や一般動詞、基本語順など超基礎からやり直すのがおすすめです。瞬間英作文やフレーズ暗記などで実用性も高めましょう。 |
0~7問 | ★☆☆☆☆ (レベル1) | 英語に苦手意識があるか、長らく英語から離れていた方かもしれません。焦らず、小学英語レベルやアルファベット・簡単な単語から丁寧に復習しましょう。映像教材や音声中心の学習も効果的です。 |



自分のレベルが分からったら、具体的な勉強法を5つのSTEPに分けて説明するよ。
ポイント2 実力があっても「やさしいものを大量に!」の姿勢が大切



私も自分の中学英語のレベルを知ることができたわ。レベルは1番上のLEVEL4だったけど、それでもやさしいものに取り組まないといけないの?



大人のやり直し英語のコンセプトは<やさしいものを大量に!>だよ。
日常会話が英語学習の目的なら、難解な英単語や文法を詰め込むことは意味がありません。応用範囲の広い基礎英語の習得を心がけよう。
STEP1 中1レベルの英文法と単語をゼロから同時に身につける<理解を重視>
STEP2 理解した英文法の徹底的な反復訓練をする<理解から使えるへ>
STEP3 本格的な中学英語の文法書で知識レベルを上げる
STEP4 フレーズ集や英作文シリーズで会話の瞬発力を上げる
STEP5 やさいしい英語の多読や多聴で、“英語脳”を身に付ける
ドリル形式の参考書で徹底的なインプットが必要です。中1レベルから中2、中3へと徐々にステップアップしていきましょう。
この段階では、網羅性の高い分厚い参考書は封印して、薄手の参考書を一気に仕上げることを心がけましょう。
英語が苦手な人、あるいはこれから英語を初めて本格的に学ぼうとする人にとって、「英文法と単語を同時に覚える」ことは効率的で、やる気も維持しやすい学習法です。特に中学1年生レベルの内容は英語学習の基礎中の基礎。ここをしっかり固めることで、その後の英語力の伸びが大きく変わってきます。
まず大切なのは、「文法を学びながら、その中で単語を覚える」ことです。たとえば、be動詞の基本文型「主語+be動詞+補語」を学ぶ際に、実際の文を使って単語と文法を一緒に覚えるのが効果的です。



この段階は、本当の基礎の部分なので、ここを手抜きするかしないかで、今後の伸びが大きく違ってくるよ。
お勧めの参考書を以下に紹介します。もちろん、それ以外の参考書を使っても構わないですが、音声つきのものを選びましょう。
分かりやすく、ドリル形式の薄手の参考書を二冊紹介します。中1版を仕上げたら、中2、中3とステップアップしてきましょう。
中1英文法 パターンドリル
中1英文法パターンドリルを仕上げたら、中2版に進むのもいいですが、以下の『中1英単語パターンドリル』もお勧めです。英単語力の増強と、英文法の復習も兼ねています。
中1英単語 パターンドリル740



意外かもしれないけど、この2冊だけでも英語を話すための素地はかなり出来上がってくるよ。



えっ、でもこれって中1の基礎の参考書でしょ。話すレベルは言い過ぎでは?



じゃあ、以下の例文は、中1英語パターンドリルに出ている例文だけど、日本文を英文にスラスラ言えるかな?
【問題1】スープを温めてもらえますか?
Can you warm up the soup,please?
【問題2】ステーキの焼き具合は、いかがいたしますでしょうか?
How do you want your steak?
【問題3】私は体調が悪かったので医者に行きました。
I went to see a doctor because I didn’t feel well.



えっ、意外と難しいわね。よく考えれば分かるけど、咄嗟には分からなかったわ。



一般的な日本の学習者は、【英語→日本語】は強いけど、【日本語→英語】が極端に弱いんだ。英語が得意と思っていても、実はこの中1レベルも怪しい学習者は多いよ。
STEP1では、中学英語の理解に必要なミニマムな知識を駆け足で身につけました。
STEP2では次の2点がポイントになります。
・網羅性の高い文法書で足りない部分を補足する
→『くもんの中学英文法』がお勧め
・理解した英文を使えるレベルへ引き上げるため反復訓練する
→『魔法の中学英語』がお勧め
網羅性の高い参考書とは、中学3年間の文法・語彙・例文・練習問題が一冊にまとまったタイプの書籍です。



このような本を使えば、バラバラの教材を複数用意する手間もなく、一貫した流れで学習が進められるわよね。
英語力がまったくのゼロではない大人が中学英語をやり直す際は、網羅性の高い参考書を活用することで効率的かつ体系的に学習を進めることができます。



ただし、網羅性の高さが故に、使い方を間違えると逆効果になることもあるよ。適度に力を抜きつつ、毎日少しずつでも取り組むことで、確実に英語の基礎力は蘇ってくるよ。
例えば『魔法の中学英語』や『くもんの中学英文法』などは、基礎から応用までを段階的に学べる構成で、多くの学び直し層に支持されています。



スポーツ選手がプレー中にいちいち「この場面は右足?左足?」と考えていたら遅すぎるよね。
英語も同じで、「この文は現在形?過去形?」と頭で考えていては、会話についていけません。
だからこそ、反復練習で「無意識に使える英語」を育てることが重要です。
- 1日15〜30分を目安に継続的に進める
最初から完璧を目指すのではなく、まずは全体を一通りやり切ることを目指しましょう。1日1~2単元ずつでも、数ヶ月で全範囲を復習できます。 - 声に出して読む・書く
音読と書く練習は、知識の定着に効果的です。例文をそのまま口に出しながら書いてみることで、文法の感覚が自然と身につきます。 - わからない点はスキップせずに立ち止まる
理解が曖昧なまま進むと、後々つまずく原因になります。特に時制・助動詞・不定詞などは要復習です。



この段階での、注意点があれば教えてくれるかしら?



もちろん。次の点には気を付けてね。
- 完璧主義になりすぎない
「全部理解してから次に進む」という姿勢は、途中で挫折する原因になりがちです。また、網羅性の高い参考書を使うと、必須の重要事項だけでなく、重要性の低い細かい情報にも目が行きがちです。 - 問題集ばかりに偏らない
文法問題だけ解いても、英語を「使える力」は身につきません。穴埋め問題や並べ替え問題は理解を試すのに有効ではありますが、必ず完全な一文としての例文や音声を活用し、インプットとアウトプットのバランスを取りましょう。 - 継続する仕組みを作る
一番の敵は「途中でやめてしまうこと」です。学習アプリやSNSで学習記録をつけるなど、モチベーションを保てる工夫を取り入れましょう。



完璧種になりすぎないというのは、前の「わからない点はスキップせずに立ち止まる」と少し矛盾してしまうかもしれないね。



確かにそうね。



理解できないと進んではいけない場合と、ある程度のあいまいさを許容しながらも前に進むべき場合を見分ける必要がるね。あと、細かい情報は目を通しつつも、完全に理解できない部分は、後からの復習で理解できればいいやという割り切りも必要かな。
魔法の中学英語
かなり分厚い参考書ですが、高校受験に必要な中学3年間ぶんの英単語と英文法が、同時に1冊でマスターできる学習書。著者は、「小学英語スーパードリル」シリーズでもおなじみの杉山一志先生です。
中学英文法(スーパーステップ)
中学で必要とされる英文法のすべてを、全192のきめ細かいステップでひとつひとつ学習できる参考書です。分からないところを調べるための辞書的に使うこともできます。
STEP1とSTEP2は標準的な中学基礎英語の習得ですが、STEP3はそれらを1段高めるSTEPです。
英語学習において、中学英語と高校英語の間には大きな「壁」を感じる人が少なくありません。
中学英語では「be動詞」「一般動詞」「三単現」「過去形」「助動詞」「不定詞」「動名詞」などの基本文法を学びますが、高校英語ではいきなり「仮定法」や「関係代名詞の非制限用法」「複雑な時制」など、文法の抽象度と複雑さが一気に増します。
このギャップを埋めるための「橋渡し学習」をSTEP3としました。「中学英語」以上「高校英語」未満と言い換えられるかもしれません。



STEP3は厳密には「中学英語」と言えないので、現状は飛ばしても問題ないよ。



STEP4と5へ進んでもいいのね。



もちろん。ただし、STEP4やSTEP5では、仮定法や分詞構文の“さわり”ぐらいは知っていた方がいいから、高校英語の一部をつまみ食いするのもいいかな。
一億人の英文法
「話せる英語」を目指した社会人にも人気の英文法書。一般的な文法解説にとどまらず、ネイティブの意識など独特な切り口で無味乾燥になりがちな英文法を楽しく学べます。


総合英語 Evergreen
高校英語の定番の英文法書ですが、仮定法や分詞構文など重要単元に絞って、読み込むのもいいでしょう。
大岩のいちばんはじめの英文法
中学レベルからの「超基礎」英文法を講義形式で教える本です。
英語の勉強はある程度してきたはずなのに、いざ話そうとすると言葉が出てこないというのは、日本人英語学習者の多くが抱える悩みと言えるでしょう。



話せない原因の多くは、「知っている英語」と「使える英語」のギャップにあります。



「知っている英語」と「使える英語」の違いって何かしら?



僕は、1秒以内に【日本語→英語】に変換できる英語こそ、「使える英語」と考えているよ。瞬発力がキーワードかな。
STEP1からSTEP3までは、「知っている英語」の習得と言えます。基本文法や頻出単語が詰まった土台をしっかりと身に付けてきました。
それを「使える英語」へと昇華させるのが、STEP4とSTEP5の役割です。
そこで効果的なのが、「瞬間英作文」や「フレーズ集」の活用です。STEP4では、この2つの勉強法を中心に説明します。
瞬間英作文とは、日本語の短い文を読んだらすぐに英語に訳すトレーニングです。
中学レベルの簡単な英文をすぐに口から出せるように練習することで、反射的に英語を話す力を鍛えます。
これはスポーツでいう「素振り」や「反復練習」にあたるもので、英会話の瞬発力を高めるのに非常に有効です。
- 「私は毎朝コーヒーを飲みます。」→ I drink coffee every morning.
- 「彼は昨日そこに行きました。」→ He went there yesterday.
このような中学英語レベルの文をスラスラ言えるようになることが、英語を話す第一歩です。



じゃあ、英会話フレーズ集って、どんなメリットがあるの?
もう一つの有効な手段が「英会話フレーズ集」の活用です。
中学英語で構成された定型表現(例:How are you doing? / Can I help you?)を丸ごと覚えることで、英語の「型」を身体にしみ込ませます。
日常会話で使う自然な英文が口から自然と出てくるようになり、会話の流れに乗る助けになります。
ただし、英会話フレーズ集の中には、仮定法や分詞構文などの高校英語の知識が必要とされるフレーズが一部あります。
中学英語は、英語を話すための「最強の武器」です。ただし、知っているだけでは意味がありません。瞬間英作文とフレーズ学習を活用して、「理解している英語」を「使える英語」へと変えていきましょう。地味なトレーニングですが、数ヶ月後には英語の口がスムーズに動き出すのを実感できるはずです。



瞬間英作文シリーズと英会話フレーズ集はどう違うの?



瞬間英作文とフレーズ集は、どちらも英会話力を高めるトレーニングだけど、目的とアプローチが異なるよ。
瞬間英作文は「日本語→英語」に即座に訳す練習で、文法力と語順の感覚を鍛え、英語を組み立てる力が身につきます。
一方、フレーズ集はよく使われる定型表現をそのまま覚える方法で、自然な言い回しや会話の反応力を養います。前者は応用力、後者は即戦力に優れています。
【瞬間英作文シリーズ】
瞬間英作文に類似の書籍も多いのですが、“本家本元”の森沢洋介先生の『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』がお勧めです。
【英会話フレーズ集】
英会話フレーズ集も多くのタイプの書籍がありますが、自分が気に入ったものを使いましょう。
ここでは、1冊ボリューム満点の1冊を紹介いたしますが、まずは薄手の本からはじめてもいいでしょう。
STEP1とSTEP2で基礎英語の土台を作れたら、英語力を高めるために「多読(たどく)」と「多聴(たちょう)」をお勧めいたします。



すでに英検3級程度の学力が保持されている社会人なら、このSTEP5から初めて、並行してSTEP3とSTEP4に取り組むといいよ。
多読と多聴は一般的にも、非常に効果的な学習法として注目されていますが、特に中学レベルの英語を使ってこの2つを実践することは、英語が苦手な人にも取り組みやすく、学習のハードルをぐっと下げてくれます。
「多読」とは、辞書を引かずにやさしい英語をたくさん読む学習法です。一方「多聴」は、英語の音声をたくさん聞くことで、耳を英語に慣らしていく方法です。この2つは、英語を“使える”力を自然に身につけるために非常に効果があります。



なぜ中学レベルが効果的なのかしら?
中学英語は、英語の基本となる語彙と文法が網羅されており、英語の土台を築くのに最適なレベルです。また、「難しすぎない」からこそ、内容を楽しみながら多読・多聴を続けやすいという利点があります。無理なく続けることで、語彙や表現のストックがどんどん増えていきます。
多読によって、知らず知らずのうちに文法パターンや自然な言い回しが身につきます。また多聴を通して、リスニング力や英語のスピード感に対応する力がついてきます。特に中学英語レベルでの繰り返しは、基礎力を強化し、応用力につながる重要なステップです。



ハードルは下がるけど、継続が大変そうね。



継続するコツをいくつか紹介するよ。
・興味のあるジャンルを選ぶ(冒険、恋愛、ミステリーなど)
・1日10分だけでもOK
・わからない部分は飛ばしても気にしない
・同じ教材を繰り返し読む・聞く
中学レベルの英語での多読・多聴は、英語力アップの近道です。やさしい英語を大量にインプットすることで、無理なく「英語脳」が育ちます。勉強ではなく“英語を楽しむ”感覚で始めることができます。
おすすめの参考書は、特にありません。皆さんの興味・関心に従って多読・多聴の素材を探してみてください。
ここでは、多読や多聴に有効性を説いたおすすめの良書を2冊紹介します。
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